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Re: 世界に届かず彼女は堕ちる〜早くも参照100突破!?〜 ( No.27 )
日時: 2011/01/14 20:31
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
参照: 風邪なんて死んじまえこの!!!←

心は無い。 ていうかあっても邪魔なだけ。 人を想うなんてアタシには絶対無理だしそもそもアホらしいし馬鹿みたいな行為。
何で人は人を好きになるんだろう?それで傷ついてしまうのは、自分なのに。

昔アタシは普通に人を好きだった。父親も母親も鬼良もクラスメイトさんも、勿論好意を抱いている人だっていた。
そんな感情が壊れたのははっきり言って覚えてない。一部記憶喪失、て感じ。

「ねぇ鬼良。もう帰ろう」
隣で日の暮れた空を見上げながら歌を歌っている弟に声を掛け、鞄を持つ。
自分のオレンジ色の髪が、夕日の、夕焼けの色と重なる。
嫌い。
この色は嫌い、大嫌いなんだ。

夕日がアタシを照らすように眩しい。 目がね、蕩けそうなくらいに。
それが嫌だから、アタシは立ち上がって伸びをする鬼良の影に潜り込む。 暗闇は、影はアタシの唯一の居場所。アタシに似合う場所。

「宗弥、ごめんな。あんたの嫌いなモン見せて」
ぽんぽん、とアタシの頭を優しく撫でながら、鬼良は言った。
夕焼けと、夕日。
脳裏に嫌でも焼きつくそれを目にしながらアタシは落ちてきた桜の花びらを一枚拾い、掌に乗せる。
小さくてピンク色のその花びらは、アタシの憧れの存在。 一度でいいからアタシもこんな花になってみたい。

……自己満足。 だけれど。

「んじゃー帰っか宗弥。腹も減った頃だしビニ弁でも買ってさ」
「うん。 あ、ナンパしないでね」
「出来るだけ気ィ付ける」




                           ▽




兄さんが出ていってからもう15分が経つ。
ああああああああ怖いよ怖いよ嫌だよ兄さん助けて。どうして僕を置いて行くんだ。僕は兄さんの……ナンデスカ?



走って走って走っても光が見えなくて。吐きそうで限界だ。何も無い暗闇をただ一人自分だけ。何も見えない、聞こえない。
目を開けているのかどうかも危うい感覚。
とぼとぼ走るのを止めて歩いていると、突然後ろから叫び声と笑い声。
振り向くとそこは地獄で、僕が、自分が刺されている。何者かに。
僕は泣き声と叫び声を同時に上げて、血まみれで地面に倒れている。 僕を刺しているのは誰なんだろうか、解らない。そいつは影のようで、光の無い光を帯びていた。



「----------------------------------------------ッ」

———またいつもの夢か……。

この頃立て続けにこの夢を見る。 目を瞑れば最後、絶対に見るんだ。
僕が孤独を恐れたのは、この夢を見始めてから。
自分が必要とされなくなった瞬間、僕はどうなるんだろう。 殺される?存在を消される?
解らない。分からないです、教えて下さい母さん父さん。

僕が何をしたんですか--------------------------------?