ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界に届かず彼女は堕ちる〜早くも参照100突破!?〜 ( No.38 )
- 日時: 2011/01/16 11:51
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
▽
———哀しい。
———楽しい。
———胸が、痛い。
———好き好き、大好き。
———でも、嫌い。
———誰か誰か、助けて。
———嫌だ嫌だ、儂を起こしたのは、誰じゃ。
———“永遠の魔女”の名は、渡さぬぞ。
『くく、さぁ、儂の獲物となれ、愚かな魔法使い共--------------------------!!』
▽
「へー、フォー=アラスメントってこんなところに住んでるんだ」
ばさ、とわざとらしく音をたてながらフードの帽子を脱ぐ。
そこに現れたのは赤毛の縦ロールで、それを二つに結っている女。全体的に子供っぽい雰囲気が漂っている。
「ライ覚えとけ、これが今日俺達が壊すところだぜ」
ライと呼ばれた女の隣でにやにや笑いながらローブごと脱ぐ男。
「暮らすところ?家ちゃんとあるのに、引っ越すの?」
「違ぇよ、こ わ す。破壊することな」
「だから説明しなくていいって、トゥルース。」
呆れたように溜息を吐きながら二人の言い合いを止める白髪の男。
それからその男は何かを思い出したように、服のポケットから眼帯を取り出した。
「これが無いと夢を吸収してしまうんだった。」
そう言って、何か紋章のようなものが刻み込まれた目を隠すように、黒い無地の眼帯を付けた。
「やっぱドリームはその眼帯付けてるとどっかのアニメの主人公みたいだね」
「変なことを言うな。」
ライ、トゥルース、ドリーム。 日本語に直すと“嘘”、“真実”“夢”。 まぁそんなことはどうでもいいのだが。
「おーーーーいフォー=アラスメント、出てきてよ」
「「馬鹿かお前は(。)」」
突然大声で叫ぶライ。そんな彼女を見て二人は頭を抱える。
「普通あんな真正面から呼ぶ奴がいるか?」「馬鹿だから仕方無い。」
こそこそと話す。
「? 何で駄目なの?正々堂々と闘いたいじゃん」
「……ライ、お前は……。 いや何でも無い。」
眼帯を結び直しながら諦めたように呟いて身を翻すドリーム。
「ドリーム?帰るの?」
そんな彼の姿を見て、折角此処まで来たのに、という顔をするライ。
「違う。フォー=アラスメントの“夢”を少し見せてもらおうと思って。 こいつの家から、すごい夢のオーラが漂ってるからさ。」
そう言うと、先程結んだ眼帯を解き、彼の目に刻まれる紋章と同じものを空中で描く。 するとそれは一人でに浮き、フォーの家の中にすぅっと入って行った。
「さてフォー=アラスメント。夢というものは儚いながら、同時に何か大切なものを掴めるものだということを覚えておけ。」