ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界に届かず彼女は堕ちる ( No.44 )
日時: 2011/01/16 18:29
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
参照: 目が痛いze☆←

第二魔法:人類破滅という願い



風が妙に涼しい、というか寒い。 やっぱりこんな格好してこなけりゃよかった。スカートってスースーするし。 女の子って凄いね、冬でもこんなの穿けるなんてさ。

「おい、聞いてんのかよ女」
「え、あ、ご、ごめんなさい」
さっき助けてくれた人。 女の子なんだからもうちょっと可愛く振る舞えばいいのにね?勿体無い。ぼくと性別交換しようよ、て言いたくなる。

「で、えーとアンタ名前は?」
「ぼくですか? 維那 楔っていいます! 大雨美高校の二年生です」
「いや、そこまで徹底的に自己紹介しなくてもいいんだが…。まぁいいか。
えっと私は石原 湊。アンタと同じ高二だ。石野一高の」

面倒くさそうに路地裏に置いてある箱の上に座りながら彼女、湊さんは言った。

「———ってアレ?大雨美高って男子高じゃなかったか?アンタ女だろ?」
やっぱり勘違いしてるみたいだ。 どうして皆わからないんだろう?
「いえ、ぼく男ですよ。趣味がコレなんで女に見られがちですけど」

固まる湊さん。ぼくオロオロ。

「え、えっと…湊さ〜ん……?」
ぼく何か悪いこと言っちゃったんだろうか。
「アンタ…そんな羞恥プレイ誰にやらされてるんだ?」「いえですから趣味です」
多分ぼくが男、てとこしか聞いてなかったんだろう。うん凄く面白い顔してる。

「あ、湊さん、ぼくこれから塾なので、失礼します」

……明日学校殴り込みに来られたら恐いなぁ。




                           ▽




「あああぁぁぁああぁぁああああああぁあああああぁぁぁぁぁぁああああああああああなんと素晴らしい天気じゃ!!
空は荒れ、雲の流れはゆっくりすぎる!ふははは、何にせよ、儂の覚醒パーティーのようじゃな!!」

誰もいない真っ暗な静かな屋敷で、一人叫ぶ女の姿。
地面を擦る長い髪をその風に揺らしながら、腕を拡げて呟く。
「さぁさぁさぁさぁ、戻れ、戻れよ“嘘”、“真実”、“夢”!!儂の元へと」

そう彼女が叫んだ瞬間、彼女の目の前に紫色のようなピンク色のような光が表れ、三人の魔法使いの姿。
「本当ならば“時間”もセットの筈じゃがな。儂が殺した所為か。 ふはは、何にせよ喜ばしいこと! 久し振りじゃな」
笑いをやめ、三人に向き直る彼女———永遠の魔女。
その目には、復讐の色が映っているように見える。

「お久し振りです。永遠の魔女、もとい我が主よ。」
「久し振りだな、永遠の魔女!ちょっと老けたんじゃね?ぐわぽっ」
「魔女ちゃん、また一緒に飲める日が来たんだね!わたしでよかったら愚痴でも何でも聞いてあげるよ〜」
三人共それぞれ彼女に挨拶をし、にまり、と笑う。

「では魔女ちゃん、狩りにでも行って参りますか〜!!お腹も空いた頃でしょうしね」