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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: と姫 目指せ! 乙女ゲーム風!← ( No.10 )
- 日時: 2011/01/12 21:46
- 名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)
Ⅱ 「恋慕愛情悲姫」
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あれから俺は丁寧な言葉遣いも忘れて姫を怒り飛ばした。
姫は一応反省していたようだが、きっと明日辺りには忘れているだろう。
「どうやら姫は君の事が好きなようだねぇ」
と、古株の大臣が急に言う。
「好きっつーか……。弄んでるっつーか……」
どうも素直な愛情ではない気がする。からかうのが楽しいとか、そんなもんだろうと思う。
「確かにねぇ……。姫は愛情を知らないからねぇ」
おっとりした物言いで眠くなるようなのが、彼の穏やかさを表している。
「……?」
いくら小国でも、金持ちの姫には何でも望むものが与えられたんじゃねぇかと俺は思う。
でも、姫は滅多に我儘を言わない。いや、俺の知る限りでは聞いた事がない。
「姫は育ちこそ恵まれていたけれど、心まで恵まれてはいないよ。
王のご多忙で構ってもらっているようにはなかったし……。それに、いつも泣きそうな顔じゃないか」
ペンを走らせながら、大臣は呟く。
姫が泣きそうな顔? いつも……? 俺は気づいてやれなかった。
何せ、それが普通すぎて……。姫はずっと泣きそうで……。
「姫は愛されることも知らない。そりゃ子供の頃に愛されていないんだ。女の幸せなんて理解してないだろうね」
女の幸せっつーのは、好きな男と結婚して、子供産んで……。何の変哲もない、そんなもんなのか?
「きっと、姫を変えられるのは君だろうねぇ」
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