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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: と姫 目指せ! 乙女ゲーム風!← ( No.12 )
- 日時: 2011/01/12 21:22
- 名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)
『きっと、姫を変えられるのは君だろうねぇ』
どうもあの大臣の言葉が耳から離れない。俺はどうしたら姫を……。本当の笑顔にしてあげられるのだろう。
「ベリアル? どうしたの、難しそうな顔をして……」
いつもの笑顔で俺に話しかける姫。決して悲しそうに見えない。でも、瞳を深く覗けば……。
その瞳には深く悲しみが蔓延っていた。
「ベリアルってば、聴いているの?」
いつもの不安げに眉を寄せた顔も、悲しげに見えて。とても居た堪れなくなる。
「なぁ……。何でそんなに泣きそうな顔何だ?」
つい俺は敬語も忘れて、本当の自分で問いかける。
「“泣きそう”……私が?」
自分でも驚いたように、目を見開いている。それでも、悲しみは拭えない。
「あぁ。俺は気づいてやれなかった。でも、いつもだ……」
「……そう言うの、止めてくれる?」
そう言った姫は、戦場で一度も感じたのことのない、強すぎる殺気を纏っていた。
「そんなの、ただの偏見でしょう?」
どんな強敵よりも恐ろしく、そして今までの姫よりも悲しそうだった。
「私がいつ“悲しい”って言った? “泣きそう”なんてただの貴方の見方でしょう?」
「困るのよ。ただの下らない偏見で心配されるなんて」
姫には似合わない、自虐的な言葉がマシンガンのように連なって、一つの悲しみに成って行く。
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