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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: と姫 目指せ! 乙女ゲーム風!← ( No.15 )
- 日時: 2011/01/12 21:44
- 名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)
「ねぇ、私の素性、知っている?」
今の姫の姿には声も出ない。何か言えば殺されてしまいそうだった。
「私は元々、娼婦が生んだ落胤。王と正妻は子に恵まれず、あっさり正室は他界」
知らなかった。姫がそんな身分だった事を。何も知らなかったのに知ったかぶりで……。
自分が愚かに思えてくる。
「私を授かった母を見捨てた王は態度を翻し、私だけを王室に呼んだ。
王の実の娘のふりをすれば、母の生活は一生安泰」
「母の為にここに来たわ。私たちを捨てて憎くてたまらない王の元に。そしたら母も喜んでくれて、私を道具扱い」
「金を得る為の都合のよい娘に成り下がったわ。もう母は私の事を娘だなんて思っていないでしょうね」
「何処までも都合のよい娘で……。それならいっそ産まれて……」
次の言葉の予測が嫌でもできて、俺は姫の唇を塞いだ。……己の唇を使って。
愛もない、味気のない口づけ。黙らせる術として使われた最大の手段。
「……っ」
姫の酸素を全て奪い取るように長い口づけで、終わった頃に姫は顔を赤くして俺を睨み上げた。
「あんたにゃそんな言葉似合わねぇ。“産まれてこなければよかった”だ? なら、何で生きてんだよ」
「死にてぇんならとっとと死にやがれ!! 望まぬずに死ぬ奴がいる時代なんだ……!!
死にてぇ奴がのこのこ生きてんじゃねぇよ!!!」
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