PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: と姫 目指せ! 乙女ゲーム風!← ( No.16 )
- 日時: 2011/01/13 19:43
- 名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)
「っ……!!」
俺の最後の言葉で、姫は大粒の涙を流した。
言いすぎたか、と反省しながら姫を抱き抱えて自室に運ぶ。
白くて小さくて細い身体。一体どれだけの悲しみをその小さい身体に溜めていたのだろう。
・
・
・
俺の部屋まで来て、姫をベッドに寝かす。過去のこの行為は、まだ幸せだったのだろうか。
「……ごめんなさい」
今までの涙は嘘のように止まり、ぽつりとそう呟いた。
でも、その瞳は俺を捕らえておらず、もっとずっと遠く、手の届かない所に向けられていた。
まるで人形のように動かなくなった姫。意味もなく宙を彷徨い続ける小さな腕。
何かを掴もうとして伸ばし、掴めなくても諦めず、なお手を動かし続けている。
少なくとも、姫の手が伸びる先には何もない。
「……だから、私を苦しめるのね」
意味の解らない言葉。幻覚でも見て放ったものか、俺に言ったものかは解らない。
「ねぇ、ベリアル」
次は、確実に俺に放たれた言葉。瞳は天井を見ていて俺を見ていない。
「有難う」
PR