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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: と姫 目指せ! 乙女ゲーム風!← ( No.25 )
- 日時: 2011/01/15 14:10
- 名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)
もうこの国は亡国となった。戦に敗れ、彼もまた戦う理由がなくなった。
それと同時に、彼女も姫という肩書を下す。普通の女として、幸せを望む。
「……もう戦う理由はねぇんだ。平和に生きてみてもいいかも知れねぇ」
たかが三日で、あっさり負けて。今まで何のために死ぬ気で剣を振るってきたのか、馬鹿馬鹿しくなってきた。
「貴方の平和な未来に、私はいる……?」
言うつもりはなかった。思っていただけだった。でも、自然と言葉になってしまって……。
「姫……」
俺が言葉を続けようとすると、姫の声がそれを遮る。
「もう“姫”はよして。私は今日から普通の女」
国がなくなれば、姫もなくなる。急過ぎるが、今日から私は普通の女。
謀略に巻き込まれる事もない、どこにでもいる普通の女になれる。
「アムドゥシアス……?」
最初仕官したころは、姫の名前が覚えられなくて大変だったな、と懐かしい頃の記憶が蘇る。
「ふふっ。ところで、私はいるの?」
いつもと変わりない悪戯な笑顔。消えたのは、拭いきれない悲しみ。
「ああ。できればずっと……死ぬまで」
愛の告白なんて柄じゃねぇが、伝えたい。伝えなければならない。
ここで、今まで守り抜いた愛しい存在が離れてしまう。
「……“死んでも”じゃ駄目?」
無垢で白くて、こんな時代に生きていても穢れを知らない貴方を、一生愛すると誓います。
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