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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: と姫 目指せ! 乙女ゲーム風!← ( No.26 )
- 日時: 2011/01/15 14:20
- 名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)
Ⅳ 「喩え貴方が何であろうと愛情に偽りは在りません」
今まで隠し通してきた事実。俺は───
悪 魔
その事実を告げたら、やっと手に入れた愛しい存在が去ってしまいそうで、怖い。
「ねぇ、ベリアル。聞いて頂戴」
いつのも悪戯っぽい笑顔を浮かべながら突然切り出す。
「あのね、赤ちゃんができたの」
その事実も唐突で。嬉しいやら驚きやら、避けては通れない事実やら、色々混ざって訳が解らなくなる。
「あ、赤ちゃんって……。俺の、だよな?」
俺のじゃなかったら問題大アリだ。アムドゥシアスに限ってそんなことないと思うが。……いや、ない。絶対に。
「浮気なんてしません」
ふふっ、と楽しげな笑顔を見せて、顔を赤くして照れている。
「……俺からも報告がある」
言わなければならない。俺が悪魔だと。吉報のあとに言うのも何だが。
「ん?」と不思議そうな顔のアムドゥシアスが見えた。その顔が絶望に変わるのが、リアルに想像できる。
「俺は悪魔だ。きっと、腹の子も悪魔の血を引いてる……」
忌々しい、恐ろしい悪魔。普通の人間の娘と幸せになっていい身分ではない。
「……喩え貴方が人間でなくても、私は貴方を愛している。……貴方が私から離れたいのなら、考えるけど」
俺を安心させるために笑顔を作ったのか、そうでないのか。
「それに、知ってたし」
嗚呼、どうやら俺は嫁に引っかき回されているようです。
でも、俺を悪魔と知って尚愛していてくれたのなら、これ以上の幸せはないでしょう。
「離れるわけねぇ」
もう笑顔になっていて、俺の全てを受け入れてくれる愛しい存在に、死んでも感謝する。
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