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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: と姫 目指せ! 乙女ゲーム風!← ( No.38 )
- 日時: 2011/01/16 16:08
- 名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)
「げほっ、げほっ……」
最近は咳が止まらなくなってきた。もう充分に安静したつもりだけど……。
「大丈夫……?」
姫は付きっきりで看病してくれて。僕が起きている時に眠っていることなんてないし、この部屋にいない事もない。
「仮にもお姫様なんだよ? 病気がうつったらどうするのさ」
「過労で咳はない」と言われて、最近は病気の線が高くなってきた。
病名すら分からない、不思議な病気。でも、咳って事は肺の病気だろうと言われた。
労咳とか、かな……。
「いいじゃない。他人にうつした方が早く治るって言うわ」
……お姫様に病気をうつした僕の立場はどうなるのさ。
「ごめん。もう武を振るって姫を守る事は出来ないかもしれない」
いくら僕でも、労咳なんかに罹ってたらそりゃ絶望的だ。
静かな所で、戦と離れて行きろなんて、僕にとって死刑と一緒だ。
僕は人を殺すことで生きてきた。なのに、なのに……。
「……凄く辛そうな顔よ。大丈夫?」
姫の泣きそうな顔が心に痛い。だって、僕はこの国と彼女を守るために……。
姫と国を守って一生生きて行くつもりだったのに……。もう叶わないかもしれない。
僕の本当の“夢” 一国の兵士として功績を上げて……。出世できなくてもいい。
ただ、誇りを持っていれば……。
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