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Re:   と姫  目指せ! 乙女ゲーム風!← ( No.41 )
日時: 2011/01/16 16:07
名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)

Ⅱ  「貴方を守りたい、救いたい」



実を言うと、彼の病気については何となく解っていた。父様の所為で、きっと彼は苦しんでいる……。


彼は悪魔の血を飲んだ身。悪魔の血の暴走に肉体が耐えられず、悪魔に心臓を蝕まれている……。


彼にこう告げたら、彼はどう思うかしら……。




「ねぇ姫。もう眠っていいよ……」

僕が眠るまでずっと起きているつもりなのだろうか、不気味に輝く満月を悲しげな瞳で見ていた。



「……眠る前に、寝物語を一つ聞かせてあげるわ」


私は全て話した。レラージュを“悪魔の血を呑んだ青年”として、そして、心臓が蝕まれるのも、全て……。


「……そして、その青年はどうなるの?」

きっとレラージュも気づいている。その“青年”が“自分”だと言う事を……。


「死んだ例しかないわ。けれど、助かる術は在るかもしれない」


こんなの酷過ぎる。生きながら心臓を食われる苦しみを味わい、じわじわと生き絶えて行く。


「ある地方の環境が、その悪魔を鎮めると言うわ」


悪魔が活動できない、聖なる気を持つ地方。ここからは随分遠いけれど、彼には其処に居てもらいたい。


「じゃあ、青年は其処に行った方がいいのかな?」


まだ冗談のような声色で、軽い調子で……。命に係わる事なのに……。と思うと、自然に泣いていた。



     「泣かないで、お姫様。きっとその青年は助かるよ」