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Re:   と姫  目指せ! 乙女ゲーム風!← ( No.43 )
日時: 2011/01/16 16:32
名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)




それから間もなくして、彼は私が話した地に向かうことになった。
彼は何度も「最後まで守れなくてごめん」と言ってくれた。





「……元気でね」

彼はきっと死なない。だって……。殺したって死ぬような人じゃないもの。
ちゃんと安静にしてくれていれば、平気のはず。



彼が去るのと入れ違いのように、この国も戦争に襲われた。

結局、私たちの国は負け、亡国と化した。生き残った兵士も少ない。


   小さいけれど栄華を誇ったあの国はもう無い。




       私の帰る場所は、もう無い。






もう一度戻れるものなら戻りたい。彼がいたあの頃へ。戦争のない過去へ。



今は彼の生死すら分からない。何の連絡もない。もしかしたら、戦争に巻き込まれて死んでしまったのかもしれない。




覚束ない足取りで、何日も歩き続けた。彼の元へ、彼が居るはずの場所へ。


何度倒れそうになったか解らない。何度転んだか解らない。何度傷ついたか解らない。






これから向かう先、貴方が居れば……。










               私は死んでもいい。