ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒白ノ歴史 -静かに狂想曲は始まる- ( No.12 )
- 日時: 2011/01/17 17:48
- 名前: 花影 ◆wNp4n0Oqx2 (ID: EHM01iHp)
カーカーとカラスが鳴いた。小説的表現でもなくて、実際に空でカラスは鳴いている。違うところといえば夕方じゃないことくらいだろうか。
「つか・・れたー!」
エリスは手を上に上げて伸びをした。胸元で翡翠色の光が閃く。
『そういえば二人はなぜ森の中などに?』
「「うっ」」
ラウディの質問にエリスとケインは言葉に詰まった。
「いや・・・」
「・・・・食事中にそこ行く?」
『ですけど・・・』
言葉を濁す二人を不審に思ったのか、ラウディは余計に突っ込んできた。彼らの額にはうっすら冷や汗が流れている。
『『どうしてなんですか?』』
「・・・・・・・・・わかったよ・・・・」
観念したように、エリスは呟いた。ラウディやクレアの表情が輝いて見えるのは気のせいだろうか?
「・・・・・・私たちは孤児なの」
『へっ?』
クレアから、擬似音声とは思えないような、素っ頓狂な声が出た。一気に場に白けた空気が流れる。
「いや・・・、だから孤児・・・?」
エリスが思わず疑問系で言っちゃうほどだ。
『あの・・・』
ラウディが恐る恐る手を上げた。隣では、クレアが先ほどの声を誤魔化すように髪を指に巻いている。
実際この二人はホログラムなのでそんなことをする必要性はないのだが。
『孤児ってことは孤児院にでもいたんですか?』
話を戻すようにラウディは言った。なぜ孤児院に今いないのか聞かないのは、彼女なりの優しさだろうか?
「あ〜・・・」
ケインは頭に手をやりながらもらした。言いたくない事情があるようだが・・・・・・
「ん?孤児院全焼しちゃった。因みに生き残りは、今のところ自分たちしか知らないよ?」
エリスがさらりと言ってのけた。ケインはあまりの驚きに顎が地に付いている。
『ケイン・・・。顎が抜けてますよ?』
あ、クレアが突っ込んだ。さすがに見逃せなかったようだ。ホログラムなので触れはしないのだが、直すジェスチャーをしている。
『因みに旅立ちは明日ですからね。エリス忘れないでくださいよ?』
「いまここで言うか?ラウは・・・」
顎が抜けているケインと、直せとジェスチャーしているクレアをよそ目に、ミニコントを二人はしていた。