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Re: 黒白ノ歴史 -静かに狂想曲は始まる- ( No.25 )
日時: 2011/02/05 20:40
名前: 花影 ◆wNp4n0Oqx2 (ID: EHM01iHp)

「ねぇ、ラウディ」
『なんですか?』
ベッドに仰向けに転がったエリスが小さく呟いた。答えるように、どこからともなくラウディの声が聞こえる。
「何でここ、こんなに豪華なの?」
「あ、それ俺も思ったんだが」
エリスが言うと同時に扉が跳ね開けられ、ケインが部屋に入ってくる。
「ケイン・・・・」
呆れた表情で、エリスは呟いた。しかし、ケインはそれを無視してラウディに話を進めるように促がす。話を無視されたエリスは少しむくれていた。
『・・・・・・それは、まぁ、なんといいますか・・・』
ラウディはコホンと小さく咳をし、
『・・・私たちがちょっと普通ではないからですよ』
「「・・・・?」」
少し言いにくそうに呟いたラウディに二人は首をかしげる。
確かに、喋って船まで動かせるビー玉は始めてみた。が、それでも普通ではないと言うと・・・?
『そういえば、これからのついては何も話していませんでしたよね』
「うん。やっと話してくれるんだ」
「俺は待ちわびたぞ」
『・・・二人とも少し正座しなさい』
「「やだ」」
ラウディは、はぁ・・・と大きく溜息を一つし、
『今向かっているのは私たちが作られた世界、「ルテティア」。穴たちが住んでいる世界や、他の世界から分け隔てられたところにあるんです』
「なんで?」
『それは、ルテティアが強すぎる技術を生み出し、そして滅びたからです。聞いたことありませんか?ロストユニバースって。それは、ルテティアのように高い技術力を持って滅びた世界の総称なんですよ』
ラウディは一瞬言葉を切る。それは栄えた時代を思い出したのか、それとも──
『そして今、ルテティアの技術力を我が物にしようとする組織──いや、世界があるんです・・・』
「・・・・・・その世界は普通の・・・
──ロストユニバースじゃない世界なんだよね?」
『いいえ・・・。彼らは崩れた世界に残った僅かな生き残り。全ての技術力を持って、混沌を我が物にしようとしています』
「混沌?・・・ってなに?」
『えっと・・・。いわゆる皆さんが神と呼ぶ存在です』
「ほえ?!神様?!!」
「なんちゅーバカなことを・・・」
ケインはバカらしいと、部屋を出て行くが、エリスのほうはまんざらでもなさそうだ。その瞳がやる気に満ち溢れている。
「ケ〜インっ?」
「・・・・なんだよ」
廊下で引き止めたエリスに、めんどくさそうな視線を向けたケインは、手を振り解いて隣の部屋へ向かおうとするが・・・
『目的地まで残り10分。マスターは今すぐコクピットへ来てください』
ヴィーと警報が鳴り、事務的な口調のクレアの声が流れる。
「・・・いくかっ!」
「うん♪」
二人はコクピットへ走り出した。