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Re: ───あなたの恨みをす。〜人狩り少女の宴〜 ( No.10 )
日時: 2011/01/15 18:07
名前: チロル ◆iPIAnVtKco (ID: S3B.uKn6)

4話 



————夕方。



「ここよねぇ。東の森は・・・。」


先輩アイドル,高峰愛梨。
メールの通り東の森の入口にいた。


「やっだぁ・・・。ちょー不気味じゃん。」


あたりには木が立っており,道なんてみえない。


「やっぱり,嘘じゃない。かえりましょ。」


愛梨は,森に背を向ける。


————ニャーニャー。



小さな白猫が,愛梨のジーンズの裾を引っ張っていた。


「か・・・可愛い!」


愛梨は白猫を抱きかかえた。



それを見た白猫は,するっと愛梨の手から抜け出し,森の中に入っていく。


「・・・ついてこいってことかしら?」



愛梨は白猫の後を追った。




———————20分くらい進んだのだろうか。
愛梨は,古いお屋敷の前に来ていた。


気がつけば,太陽は西の地平線に傾き,見えなくなっていた。



—————カチャリ。



ゆっくりと,お屋敷の扉が開く。



「えっ・・・。」


愛梨の目線の先には,頭に帽子をかぶりゴシックロリータっぽい衣装を着た,女の子が立っていた。


「ようこそ・・・。私のお屋敷へ。」



—————愛梨は誘われるがまま,屋敷の中に入った。



「私の名前は,漆黒。この子は使い魔のマカロン。」


すると,さっきの白猫は女の子の姿に変わった。



「え・・・えぇえええっ?!」


愛梨は思わず声を上げる。



「あなたの恨みはなぁに・・・?」


「恨み・・・?」



「恨みがある人間は,一目でわかるわ。だから,私はあなたにメールを送ったのよ。」


漆黒は,嘲笑うように愛梨を見つめる。



「はは・・・ははは・・・。そう,そうなの!!私は恨みがあるの!!新人アイドルの花月えれかに!!」



愛梨は狂ったように声を荒げる。
そんな愛梨を,漆黒は黙って見つめる。



「・・・ふーん。それで,わたしにどうしろと?」


「決まっているわ!!花月えれかを芸能界引退へ追い込み,自殺へ追い込む!!キャハハハハハハハッ!!」


愛梨は狂ったように笑いちらす。
そんな愛梨を見て,漆黒はクスッと笑う。



「叶える代わりに,代償があるの。」


漆黒は,小さな小瓶を取り出した。


「なんなの,その小瓶。」


「・・・叶える代わりにあなたの血をいただくわ。ちょっとでいいのよ。これで,契約は完了するわ。恨みをはらし尽したら,自動的に切れるわ。」



漆黒はそういうと,ペーパーナイフを出し,愛梨に渡す。



「・・・痛いけど,えれかを引退させるためならば・・・。」



愛梨は,右手の人差し指に,ペーパーナイフを刺す。



————ぽた・・・ぽた。


血は,小瓶に入り飴玉のような形に変わった。



「うっ・・・。」



愛梨の右手の甲には,魔方陣が浮き上がってくる。



「焼印よ。契約の証・・・。この魔方陣は3っつまでしか。お願いをきいてくれないから,注意なさい」


漆黒は瓶に溜まった,飴玉を眺めている。



「・・・あなたは一体何者なの?」


愛梨の顔が険しくなる。


「私・・・?私はただの人の恨みに興味がある,ただの女の子よ・・・。クスクスクスクス・・・」



————漆黒の笑い声は,屋敷中に響いていた。