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Re: ———あなたの恨みをはらします。第2章,幕開け——— ( No.54 )
日時: 2011/01/28 22:27
名前: チロル ◆iPIAnVtKco (ID: S3B.uKn6)

11話


───翌日。


俺、冬馬はいつものように教室に入る。


‥‥もちろん、昨日の事件で持ちきりだ。


「ねえ、またあの交差点で事故でしょ?」

「今度は大学生でしょ?うかつに渡れないよねえ‥」


「また、一年前の女の子の霊が、あの世に引きずりこもうとしたんじゃ‥」


女子生徒達が集まってそういう話をしている。


彼女らは、一年前の女の子が俺の姉だとは知らない。


「冬馬君‥‥気にしちゃダメだよ。」


伶が慰めてくれるが、複雑な心境なのは変わらない。


そこへ


「まーったく、そんなこと女の子の霊の仕業に決まってはずですわよ。」


その声で、クラス中が彼女に注目する。
彼女は、進藤可憐。
進藤財閥の娘。どこにでも居そうなお嬢様だ。

生徒会長をしていて、生きていたら姉の同級生にあたる。
姉への嫌がらせは、半端なかった。

「もうそんな知り尽くしたことを噂したって、仕方ないですわよ。」


可憐は、みんなへ向けて言うと、みんなが頷き、その話をするものはいなくなった。


進藤財閥は、1人になった俺に沢山の援助をしてくれた。


爺ちゃんと婆ちゃんの年金だけじゃ、俺が進学するのには足りなかったからだ。

今のも、可憐なりの罪滅ぼしだったのかもしれない。

あくまで、俺の解釈だが‥。

───放課後。


俺と伶は、また交差点に行く。


すると、花束の花が蹴散らされていた。


「ひどい‥。誰がこんな事‥」


伶は、蹴散らされた花を手で集めている。


「朝は、何もなってなかったから、昼間に誰かがなんかしたんじゃないのか?」


俺は、新しい花を置く。


「あれ、冬馬君‥?」


後ろから声を掛けられ、振り返る。

「椿さん‥‥?」


椿さんこと、畑川椿さんは、姉の親友だった。
事故の時、姉と一緒にいたて事故に巻き込まれた。


現在も車イスの生活を送っている。


「久しぶりね‥‥。茜のお葬式以来ね‥‥元気してた‥?」


椿さんは、少し微笑み小さな声で話す。


「まあ、元気でしたけど‥」


「そう‥‥よかった。」


‥‥‥‥‥。



しばらく沈黙が続く。


「じゃあ、これで‥‥」


椿さんは、車イスを手でこぎながら人ごみに消える。


そして、俺と伶も帰ることにした。


──────
──


───カツッ。


午後9時。

歩行者はめったに居ない。


───ガサガサッ。


「やっぱり‥‥あった。」


私、桜井伶は交差点に来ていた。


私は夕方、少し気になることが出来た。


───やっぱり、睨んだとおりだった。


私は“それ”をハンカチで拾った。


早く家に帰ろう‥


───ガツッ


不意に頭に激痛が走った。


パイプのようなもので、殴られた。


生ぬるい液体が額を通る。


なんか‥意識も遠くなる。


〜♪

歩行者用信号が青に変わったみたいだ‥‥。


───あっ‥‥。


手に握った“それ”がなくなっている。


どうして‥‥どうして‥‥‥。



私は、蹴られて車道に出てしまった。


歩道にいかないと。


その時、


トラックだろうか‥‥


大きな光が近づいてきた。


─────ガツン