ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ——あなたの恨みをはらします。オリキャラまだまだ募集中! ( No.82 )
- 日時: 2011/02/03 15:53
- 名前: チロル ◆iPIAnVtKco (ID: S3B.uKn6)
17話
俺は,交差点の真ん中に倒れている人影へと走る。
靴ひもがとれようが,気にしない。
だんだん近づいていくと,人影は俺の学校の1年生のようだ。
すぐ分かった。
なにせ,日曜だというのにジャージを着ていたからな。
俺の中学は,学年ごとにジャージや上靴の色が違う。
一年生は,緑だからな・・・。
この子が緑のジャージを着ていたから,すぐに分かった。
————そんなこと考えてる場合じゃない!!
俺は,交差点の道路に入り,倒れている人影を抱き,抱いたまま車道へ転がる。
間一髪でトラックにひかれずに済んだ。
「おい,大丈夫か?」
トラックを運転していたおじさんが,トラックから出てくる。
40代くらいだろうか・・・。
「冬馬君!!」
椿さんは,車いすを自分の手でこぎながらおじさんの横に来る。
「あぁ・・・大丈夫です。」
俺は,すくっと起き上がる。
そして,一年生の奴に呼び掛ける。
「おい,しっかりしろ!」
———そう,叫び続ける。
「・・・っ。」
1年生の奴が目を覚ます。
「お前,大丈夫か・・・?」
俺は,一年生の奴を抱き起した。
————ん・・・?
コイツ,どっかで見たことあるな・・・。
誰だっけな・・・。
「あなた,譲君ね!」
隣にいた,椿さんが叫ぶ。
「あっ・・・」
俺も声を上げる。
————思い出した。
コイツは・・・・。
「譲〜!!無事なんですの?!」
遠くからこえが聞こえる。
————進藤可憐だ。
可憐は近づいてきて,俺から譲君を奪い,抱きよせた。
————説明しよう。
譲君の本名は,進藤譲。
生徒会長,進藤可憐の弟だ。
俺も,姉の葬式以来会ってはいなかった。
「・・・あ,姉さん」
譲君は,驚いた表情で可憐を見つめている。
「無事でよかったわ・・・。」
可憐はそう言うと,譲君を道路に寝かせ,ズカズカと俺の前にやってくる。
「ちょっと,茜の弟!これがどういうことか,説明してもらおうじゃないの!!」
可憐さんは俺に向かって,すさまじい剣幕で言ってくる。
———まぁ,無理もないだろう。
「俺は,椿さんと一緒に歩いていたら,この交差点に譲君が倒れてたから,トラックにひかれそうなところを助けたんですよ」
俺は,ありのままに説明する。
その説明に,椿さんも頷く。
「ふーん,それでこのおっさんが,トラックの運転手ね!」
可憐は,運転手を睨む。
「この,男の子の言ったとおりだぞ。俺がトラックを運転しとったら,この譲君とかいう子が,道路の真ん中に倒れとったんだ。」
運転手が,俺の説明に付け加える。
「まぁ,いいわ。弟は無傷だったし・・・」
可憐も少し,落ち着きを取り戻す。
「にしても,譲君。道路の真ん中に居たらあぶねえぞ!」
運転手のおじさんが,譲君に向かって注意をする。
———————が。
「・・・あの,僕。誰かに押されたんです・・・。」
譲君が,呟いた。
—————押された・・・だと?
俺は,驚きを隠せず,譲君に向かって聞いた。
「なぁ,お前。自分から交差点に入ったんじゃなくて・・・押されたのか?」
—————返事はすぐ返ってきた。
「そうですよ・・・。ランニングしてたら,いきなり押されて・・・倒れた時に,目をハンカチみたいなので隠されて薬を飲まされました。そして,気づいたら・・・みなさんが・・・。」
—————押された・・・?薬を飲まされた・・・?
譲君の言葉が頭の中をぐるぐるまわる。
————この一連の事件。
例の,交通事故にあった姉があの世に引きずりこむとかそんなんじゃない・・・。
この事件・・・
——————ちゃんとした犯人が居るってことなのか・・・?!