ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 光と闇の迷路 〜chiffon〜 ( No.9 )
- 日時: 2011/01/28 20:43
- 名前: さっちー☆ (ID: 6JEcwaCG)
・・・工藤 風紀。
私の幼なじみで、保育園の時からずっと一緒だった。
風紀も私と同じで、親がうまくいっていない家庭。
風紀とは・・・そう・・・、たしか・・・。
・・・あの公園。
桜丘公園で出会った。
あれは・・・、保育園に入り立てのところで・・・桜が咲く季節だった。
『・・・きょうもお母さんもお父さんもケンカしてばっか。・・・あたしのことなんて気にかけてもくれない。・・・っ・・・ひっく・・・ひっ・・・。』
スッ・・・
『・・・どう・・・したの・・・?』
・・・そう言って風紀・・・、ハンカチを手渡してくれたっけ・・・。
『・・・あなた・・・だれ・・・?』
私は不安そうに聞いた。
『・・・くどうふうき。』
『・・・そ・・なんだ・・・。あたしは・・・。』
『はなぶさ・・・あかり・・・だっけ・・・。』
『・・・うん・・・、そう。なんでわかったの。』
『・・・ちょうのうりょく。 ・・・なんて。』
・・・風紀は・・・私を元気づけるために・・・、話しかけてくれたんだ。
・・・風紀だって・・・苦しいはずなのに。
『・・・へぇ、おんなじ、ほいくえんだったんだ。』
『・・・うん、そう・・・で・・・ウサギ組。』
『わぁ、一緒だぁ。』
『・・・うん。・・・よく・・・ここ来るの?』
『・・・うん・・・、たまに。』
『じゃあ・・・またここで会おう。じゃな・・・。』
『・・・じゃね。』
・・・あの頃の風紀・・・可愛かったなぁ・・・。
「・・・あのさ・・・、何妄想してんの?」
風紀がそう言う。私は少し、ふてくされた顔をして
「・・・も、妄想なんてしてないよ。ちょっと過去にひたってただけ。・・・それよりどうしたの?またおすそわけ?」
と言った。
「そ。おすそわけ。これ一緒に食べようと思ってさ。」
そう言い、私にこんぺいとうが入ったスーパーの袋を差し出した。
「また、こんぺいとう?」
「悪かったな。・・・いいんだよ、好きなんだから・・・。」
「・・・。」
・・・風紀のバカ。
なんで思い出させるようなことするの?
・・・くすっ・・・
・・・ほんと・・・バカなんだから・・・/////
・・・あの公園でよく食べてたこんぺいとう。
「・・・これ・・・、210円もするの?」
「・・・ああ。それけっこう安いほうなんだけど。」
「・・・昔は50円で買えたのにね・・・。」
「・・・そうだな。・・・んで、わずかなお年玉で買って、二人で食ってたよなー。」
「・・・昔はほとんどあたしがおごってたのに、今じゃ反対だねー・・・。」
「なー。まあ今おごってるし、昔の借りみたいな?」
借り・・・。
じゃあ借りが終わったら風紀は離れてっちゃうの?
・・・そんなのイヤだよ。
「明里・・・?」
「あっ・・・なんでもなー・・・。」
「明里ー?どうしたのー?お客さんー?」
バタバタ・・・
「・・・あれ、工藤くん?」
「花本・・・?」
「・・・偶然だね。工藤くん。」
「・・・ああ・・・。そうだな・・・。」
・・・それは・・・。
・・・嵐の・・・前触れだった。
つづく