ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 日常的非凡。 ( No.6 )
日時: 2011/01/16 19:39
名前: 螢 ◆KsWCjhC.fU (ID: EFzw/I/i)

01.日常的平和。

 俺はけたたましい目ざまし時計の音で眠りから引きずり出される。
 うざったらしい金髪を後ろに払うと、俺はそろそろ切ろうかと考えながら制服を掴んでリビングに向かった。

 俺の髪色は、金。ついでに瞳も銀色だ。
 勿論、外人だからではない。俺は純日本人だ。
 地毛ではなく、染めた。
 理由は言いたくない。
 瞳もカラコン。
 これも理由は言わない。
 どうでもいい昔話だ。
 それでも、もう二度と思い出したくないけれど。

「梓!朝メシ出来てるから早く着替えろ」
 リビングで、棗が皿をテーブルに置きながら言うが俺はそれをシカトして洗面所に直行した。
 
 俺は顔を洗って、制服に着替えるとリビングに置いてある朝食を無造作にとった。
「梓、おはよう」
「…はよ。」
 棗が声を掛けてきてくれるが、俺は低血圧なのでダルい声で応えた。
 棗はそれを咎めることはせずに、鞄を引っ掴んで俺に投げつけた。
「時間。そろそろ行かねえとヤバいんじゃねーか?」
「……今何時?」
「8時28分49秒」
 俺は棗が言い終わらないうちに家を飛び出した。
「行って来る!」
「おう!遅刻すんなよ」
 棗の声が小さく聞こえた。

 
「お!梓、今日一時間目自習だと♪」
「は……自習?」
 なんだよ……あんなに急がなくてよかったのか……!!!
 俺は目頭を抑えながら自分の席に着いた。
「藍原君、遅刻ね」
 背後からヒヤリと冷たい声がする。
 俺が後ろを振り返ると、そこには氷の女王と恐れられる風紀委員長、氷室がいた。
 氷室は事務的な笑みを崩さずに、俺に紙とペンを渡す。
「遅刻者はそこに名前を記入してくださいね」
 俺は氷室の笑みに内心冷や汗をかきながら、おとなしく名前を書いた。