ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 日常的非凡。 ( No.15 )
日時: 2011/01/17 19:09
名前: 螢 ◆KsWCjhC.fU (ID: EFzw/I/i)

「ただいま」
 俺は扉を開けると、青ざめた顔をした棗が飛びついてきた。
「心配した〜……」
 棗が俺の肩に頭を乗っける。
 ……重いなコノヤロウ。
「どうしたんだよ」
「どうしたじゃねー!お前が出掛けたすぐあとにバラバラ殺人があったんだよ!男だったらしいし……心配したんだぞ!!」 
 俺は一気にまくしたてる棗の言葉を受け流す。

 ………バラバラ殺人、か。

 『バラバラ殺人があったんだって。物騒だから家に帰った方がいいよ』
 星野の言葉が頭の中で繰り返される。

 ……流石に情報屋でも知らないはずだよな。
 何で知ってたんだ?
 大体、俺が出掛けたすぐあとに会ったわけだから、現場を見ないと知らないはずだろ?
 
 俺の頭の中で?マークが飛び交う。
 ……ダメだ。考えれば考えるほどわかんなくなる……

 俺は答えの見つからない問題に終止符を打つと、なおも怒鳴り散らす棗に笑って謝る。
 すると、おひとよs……じゃない、優しい棗は俺の頭をくしゃりと人撫でして許してくれる。
「これからもうすんなよ……」
 
 ……こういう時の棗は兄貴っぽい。
 優しく微笑んでいる表情も大人らしく落ち着いているし。

「もう、寝ろ」
 俺は棗に素直に従うと、自分の部屋に戻った。