ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 日常的非凡。 ( No.26 )
日時: 2011/01/19 21:03
名前: 螢 ◆KsWCjhC.fU (ID: EFzw/I/i)

 俺は橘川さんと別れた後、いつもの公園の前を通り過ぎ———
「お!藍原のガキ!」
 ———れなかった。
「轟木さんですか……」
「なんじゃ!その「うわあ、この人来ちゃたよ…」的な顔は!」
 俺が嫌な顔をすると、轟木さんが叫ぶ。
 そして、轟木さんの叫び声がピタリとやむ。
「……ときに藍原のガキ」
 轟木さんが俺を舐めるように見る。
「何ですか?」
「……その血はなんじゃ?」
 轟木さんが俺の服を指さして呟く。
 

———あ、忘れてた。


 俺の外見。今———


———血塗れじゃん。


 俺がそこまで考えたところで轟木さんが呆れた様に呟く。
「「あ、忘れてた」って顔じゃな……自分が血塗れなのも忘れられるとは……」
 アンタは読心術でも使えるんですか。
 そんな俺をよそに、轟木さんはどこからかシャツを取りだす。
「そのままの格好では何事かと怪しまれる。そこのトイレで着替えて来い」
「随分と用意周到ですね……」
 俺が呆れた様に(いや、実際呆れた)言うと、轟木さんはにやりと笑い
「わしには褒め言葉じゃな」
 といった。

 この人には一生勝てない気がする……





「着替えたか?藍原のガキ」
 着替えましたよ。見ればわかるだろ。馬鹿じゃないの?
 と言いたい気持ちを抑えて、「着替えました」とだけ言う。
「うむ。で?」
「何が「で?」何ですか?」
 俺は首を傾げる。
「さっきの血のことに決まってるじゃろうが」
 轟木さんは肩で大きく息を吸うと、思い切り溜息をついた。

 ……俺ってどう思われてるんだろう

 俺は複雑な心境で、今までの経緯を話し出した。