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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: +。*+。*+。*水鏡に映る月の光+。*+。*+ ( No.35 )
- 日時: 2011/02/03 18:10
- 名前: ユフィ ◆xPNP670Gfo (ID: Y8UB0pqT)
- 参照: http://m-pe.tv/u/page.php?uid
雪が、ふっていた。あの時も。
ひらひらと舞う白い花のような雪は淡く、儚く、そして優しくて。
大好きだった。
「兄さん!」
はしゃいだ声で自分を呼ぶこの、声。
「冬香(ふゆか)・・・いったいどうし・・・」
バフッ!!
顔に冷たいものがあたる。それはさらさらとしてそれがなんなのかはすぐに分かった。
雪だ。
しばらく唖然として目をまるくしていた自分の表情にこらえられなくなった冬香、と呼ばれた幼い少女は次第に頬を紅潮させて吹き出した。
「あははは!!兄さんったらおもしろい!」
そして第二の雪球を作るべくさくさくと雪の上を歩いて両手で雪をかき集める。
「いつのまに・・・」
今まで全く気づかなかった。そして
「冬香・・・」
「ん?・・・・!?」
バフッ!
振り返った冬香に自分の作った雪球を投げる。
見事に的中して自分でも自画自賛してしまった。
「ははは!油断してると危ないぞ?」
面白半分でくっくっと笑っているとまた雪球が飛んでくる。
すると、それをひょいっとよけたはずみでバランスを崩して転倒した。
そんな情景を優しく微笑みながら見ていた女性がいた。
この女性こそが自分とこの目の前ではしゃぎ回ってる妹の大好きな母親で。
幸せだった。
ずっと続くと、思っていた。
あの日がくるまでは・・・
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