ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: +。*+。*+。*水鏡に映る月の光+。*+。*+ ( No.36 )
- 日時: 2011/02/03 22:26
- 名前: ユフィ ◆xPNP670Gfo (ID: Y8UB0pqT)
- 参照: http://m-pe.tv/u/page.php?uid
あの日の事件がきっかけでその大切な存在が。守らなければいけない人が命を落とした。
守れなかった。いや、守るどころかこんな目にあわせたのは誰だ。
自分だ。自分のせいだ。
あれからずっと自身を憎んだ。自分でこの身を剣で貫こうとした。
でも・・・
何度も聞こえてくる。あの娘の声が。だめだと。今にも泣きそうな声が。
そうして結局何も変わらなかった。
それから・・・
「今に至ったわけだよ・・・」
「ん?・・・なんか言ったか?」
「別に・・・」
あれからもう六年も経ってしまった。自分は何もせずに、こうやってのんびり生きてきた。
「ん?あれ慧斗と紅羅じゃないの?」
「うわっ!びっくりした〜・・・ちょっとあんまり大きい声ださないでよ響羅!聞こえちゃうでしょ!!」
がさがさと竹やぶに身を隠しているつもりの二人がこちらの様子を伺っている。
あまりにもばればれなので慧斗はつい吹き出した。
その様子を見た紅羅はむしょうにうれしくなって笑みえを浮かべる。
「ばれてるよ、六花。・・・に響羅も」
びくりと二人の肩がはねる。仕方なく竹やぶから出た六花と響羅はうつむく。
「ごめん・・・」
「いやいや、りっちゃんが俺に興味を示すとはねww」
「はあ!?ち、違う!!たまたまこっちに妖がきたから、追いかけてたの!」
「はははww照れるな照れるなww」
「照れてないっ!!」
いつもどおりの展開になって紅羅は盛大なため息をつく。
響羅も苦笑を浮かべる。
「そういえば慧斗、さっきあたしのこと六花って・・・」
「そうだったか?」
「あのさ、お取り込み中申し訳ないんだが・・・さっき言ってた妖ってあれか?」
「「え?」」
はっと後ろを振り返ると、牛くらいのおおきさはあるであろう妖が威嚇(いかく)しながらこちらを睨み続けている。
その妖からは濃い血の匂いがしていた。
「あの妖・・・人間食ったのか・・・」
「そうみたいよ・・・はぁ面倒くさい」
ひとつため息をついた六花は腰に差しておいた刀に手をかけて一気に引き抜いた。
「とぉぉぉぉりゃゃゃゃ!!!」
すばやく間合いをつめて妖の体を一刀両断する。
妖は断末魔の絶叫をあげて血飛沫をあげた。
すると、すぐに灰となってさらさらと崩れ落ちた。
「え?」
おかしい。普通、刀で切れば骸がのこるはず。なのに、今目の前で跡形もなく消え去った。
刹那。
一瞬にしてその妖の灰が黒いぬめぬめした触手のようにするする伸びて六花の足に巻きついた。