ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ——殺戮ゲーム ( No.2 )
- 日時: 2011/01/22 21:05
- 名前: 翡翠 (ID: 5pL1XZZ8)
〜魔霊殺戮都市〜
——この都市にただの人間は存在しない。
此処に居るのは特殊な能力・異能を持つものだけが集められていた。
年齢もさまざまで特に決まった歳ではない。
なぜ、此処にそんな者達かが集められるか、それは…。
「…取り合えず、此処で休める、かな?」
紫の長い髪を後ろで器用な御団子結びにしている少女—紫翠蓮華は呟く。
「いつまで、こんな生活が続くんだろう…」
紫と翠色が鮮やかなコートをパタパタとはたきながら蓮華は口にする。
「…他の皆も無事だといいけど」
蓮華は深紅の瞳で周囲を見回す。
何かを探るようなしぐさだ。
「うーん、やっぱりわかんないなぁ、私、人物探知苦手だからなぁ…」
うーんと蓮華は一度首をひねる。
「どうしようかなぁ、せめて、泰譽と合流したいんだけど…」
誰も居ない廃屋のような場所で蓮華はひたすら呟いた。
・・・だが、次の瞬間蓮華の脇腹の横を鎖鎌がすり抜けた。
「わっ!」
蓮華は小さく声を上げたが反射神経で何とか避けきる。
「ちっ!避けやがったか」
少女の脇腹の横をすり抜けた鎖鎌の持ち主は忌々しそうに舌打ちをした。
「緘凪…あんたねぇ、危ないじゃない!いきなりそんな物振り回してきて!!」
蓮華はキッと怒声を上げて鎖鎌の持ち主をにらみつける。
「子ども扱いするんじゃねぇ!いちいちムカつくんだよてめは!!」
蓮華の言葉に怒鳴り返す灰色の髪の美少年—緘凪 綺羅。
見方によればその姿は少女にも見えると思われるほどだった。
「む、仮にも年上の人に対してどういう態度よ!」
廃屋が怒声で揺れるほどの声で蓮華は言い返す。
「年上?たかが二つだろう?それに今は【殺戮ゲーム】中だ、歳なんて関係ねぇ!!」
緘凪は、そう言い返すと同時に鎖鎌を再び投げる!
「あぁ、もう!」
蓮華はその鎖鎌をコートの袖で弾き返す。
…コートの一部を魔力でコーティングしたのだ。
「相変わらず、てめぇの能力はめんどくせぇな…」
緘凪の言葉に蓮華は、自信気に返す。
「私のコートは特殊なんだから。これくらい当然!」
自慢げに返す蓮華を見ながら、緘凪は呟いた。
「…こんなのが年上とはな…」
緘凪の呟きは蓮華のは聞こえなかったらしい。
「おい、お前に一つだけ言っておく」
緘凪は、大声で叫ぶようにいった。
「お前は甘すぎる。このゲームを理解してねぇ、そんなんじゃ、すぐに殺されるぞ…」
緘凪の言葉に蓮華は同じか、それ以上の声で返す。
「そんな事言われなくてもわかってるもん!」
蓮華の声は響き渡り、空気が振動するほどだった。
「あー、うるせぇ、俺は警告したからな!!」
緘凪はそれだけ言うと、耳を塞ぎながら去っていった。
そんな姿を見ながら蓮華は呟いた。
「…そんなこと、私が一番わかってる…」
拳をギュッと握り締めながら、蓮華はしばらくその場に立ち尽くしていた。