ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ——殺戮ゲーム ( No.3 )
日時: 2012/01/19 20:41
名前: 翡翠 (ID: Y9aigq0B)

——此処は何も無いあるのは荒れた大地。

此処もまた都市の一部だが、蓮華がいた廃屋とは似ても似つかない場所である。

「うーん?此処に一人は居るはず何だけどなぁ?」

首をかしげているのは赤と青の瞳で紫の髪が肩くらいの長さ、そして、ミニスカートをはいている、少女だ。

「というか、何でこんな場所を選ぶのよ!何にも無い砂漠みたいな場所じゃない!!」

頬を膨らませて少女—卿裡 泰譽は口にする。
泰譽もまたゲームの参加者だ。
蓮華が探していた人物でもある。

「というか、本当に誰か居るんだよねぇ?誰も居なかったら、かなり寂しいんだけど!」

泰譽は、独り叫ぶが風に呑まれてその声は消されてしまう。

「あーもう!この風何とかなんないの!!」

そう、泰譽が言った瞬間のことだった。

「賑やかだと思えば、ゲームの参加者か」

その場に似つかない透きとうるような声が響く。

「ん?貴方がもしかして私が捕らえた気配の人…?」

泰譽は緋色の外套を被っている二十代の女性と思われる人物にそう言った。

「気配…おそらくは私のことだろうな」

そう言う女性は左に赤の地に黒い月が描かれていて帯びの赤い着物を着ている。動きやすさを考えたためか、右足は出されていた。
腰の帯には刀がさしてある。
履いているのは草履でその鼻緒は赤い。

「やっぱり、というか、そんな物被ってないで姿を見せなさいよ!」

泰譽が言っているのは緋色の外套のことだ。

「あぁ、これのことか、まぁいいだろう、ただ、私にこれをはずさせるという事は私と戦うことだとわかっていての言葉だな?」

女性の言葉に泰譽はこう返す。

「元から、戦うために貴方を探していたんだから、当然そのつもりよ」

泰譽の言葉を聞いていた女性は、少し口元を緩ませながらこう言った。

「よい返事だ、ならば私も相手になろう」

そういうと同時女性は緋色の外套を外し、その姿を見せた。
腰までの黒髪で、その瞳は意志の強さの現われか、黒い。
長い黒髪はとてもよく着物と合っていた。

「…綺麗な髪だね」

泰譽は女性の髪を見ながら口にする。

「そんなことを言ったのはお前が初めてだ、お前名は何という?」

女性の問いに泰譽ははっきりと答えた。

「卿裡 泰譽、だよ。…貴女は何ていうの?」

泰譽の問いに女性もまた名を名乗る。

「工藤 紅だ、泰譽、お前と会えた事嬉しく思う」

紅と名乗った女性に泰譽は言う。

「私も紅さんに会えて良かったです。すぐにお別れすることになるでしょうけどね!」

そういい終わると同時に泰譽はクナイを構えて走り出す。
そして、瞬時に紅の懐に飛び込むと、クナイを紅の胸元に向けて斬りつける、が、それは紅に当たることは無く、紅い刃によって防がれた。
刃を見たと同時、泰譽は後ろに跳び退る。

「ほぅ、中々、動きが早いな」

紅い刃を構えながら紅は呟いた。

「紅さんこそ、みかけによらず、動きが素早いですね」

泰譽も運動能力は高いほうだが、紅の運動力もそれに劣らない。

「勝負では素早さが肝心だからな」

そう言うなり泰譽に向けて走りだす紅の前に立ちはだかる影が現れた。

「待て、貴様の相手は俺だ」

突然現れた人物に紅はもちろん、泰譽も驚きを隠せないのであった…。