ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: LEVELTIER ( No.10 )
- 日時: 2011/01/24 22:55
- 名前: UL ◆CMDELf4rTk (ID: LpcnUUvD)
「その男は、変なやつだった。故郷から意図的に逃げてきたと話しているのに、だから帰らなければとあいつは言ったんだ」
「意図的に逃げてきたのにだから帰らなければならない・・・?」
レキは引っかかったことを繰り返して確認する。
「逃げてきたんなら理由があるだろ?一体何の理由があったんだ?」
「それは・・・わからない」
レガードはそういうと空を見上げた。
岩の先から見える空はとても寂しいように感じられた。
「あいつは悲しそうだった。あいつの目は使命を帯びてた。約束を抱えてたよ・・・」
「そういうのって、わかるものなのか?」
カイスが問うと、レガードはうなずいた。
そして、仮面をつけると、振り返って目の部分に開いた穴を指差した。
「私たちは目で会話するんだ。エレクは透視をつかさどる精霊・フロロスコウプを体内に宿す透視の種族だから、それぐらいはわかる」
レガードはそういうと、仮面をはずしてポケットから二つの小物を取り出した。
「ほら、これ持って」
「あっ、えっ!!?・・・何だよこれ?」
レガードが急に投げてよこしたそれを慌てて受け取ったレキは尋ねた。
彼女はそんなレキを見て、後ろを向く。
「行くんじゃないのか?」
「・・・行くけど」
「だからあげる」
「はぁ?」
レガードはレキの言葉に反応して再びレキのほうを見る。
「それはフロロスコウプの御守り。ここら一体はフロロスコウプを守護精霊とする移住の民が多いから・・・ほら、それ持ってた方がなんかさぁ、こう・・・問題がないっていうか、その・・・」
「・・・何?」
「衝突を避けることができるでしょ?」
レガードはそういうと、笑う。
カイスはそんなレガードを見て頷く。
レキはそのお守りをポケットにしまうと、レガードの方を見た。
「ありがとう」
レガードはその言葉をきいて「どういたしまして」と、言葉を返した。