ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: リディラテは微かに笑う。 ( No.11 )
- 日時: 2011/01/25 19:08
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
- 参照: シリアス展開
「あ——————————————————————————……」
何処から出るのか自分でも分からないが、とても長いため息を出す。
嫌な事があった訳でも無く、ショックな事があった訳でも無い。
「どした。」
クロカゲが流石に驚愕の意を見せながらそう尋ねてくる。
単調なため息が耳障りだったのか少し不機嫌そうな顔な様で。
「旅人なのね、俺」
完全に頭にハテナマークが浮かんでると思うクロカゲは話の趣旨を掴めない。
「あ、ああ… で、それがどうした。」
「主目的は無い訳だ、ブラブラと世界を回ってる。」
自分でも何を言っているのか分からない。
自分の説明責任を保たないまま俺はグダグダな話を続けようと唇を動かす。
「そうだな、旅人の癖に珍しい銃を持ってる、経験はあるんだろうな?」
武器屋を営むクロカゲならではなのか、言葉がずっしりと身に染みる。
寧ろ好都合と言うべきなのか、自分の強さを見せ付けるならば好都合。
「経験? まあな、銃は一応護身用だけど。」
「45口径なんか護身の前に相手が死ぬぞ。」
事実を言われ心なしか動揺する。
「…まあいいけど、それならライカンにも充分対抗できると思うな。」
クロカゲはどや顔でそう言うと、俺にこう言って来た。
「この街に居るローンプラシックとライカン狩りにでも行って来いよ、お前なら出来ると思うぜ。」
「そもそもライカンが何かわからん。」
俺がそう言うとクロカゲは何だよこいつ、とでも言う様に呆れる。
「簡単に言えば狼、ウルフ
ライカン病というのがあってだな、それに人間が感染するとおよそ一ヶ月でライカンになっちまうんだな。
そしてライカンは人間を毛嫌い襲ったりもする。」
「やばいじゃねえか、俺死ぬよ死んじゃうよ昇天しちゃうよ!?」
「そう焦んな、今でも啀み合いを続けているライカン達にも人を襲わない安全な部類が居てだな…」
さてクロカゲの説明では理解など到底不可能な位置だと感じたので少し説明をしよう。
ライカンは大きく分けて二つの部類が居る。
人を毛嫌う種類は主にハウンドウルフと呼ばれ、人間との啀み合いは避けている部類をレリエフウルフと呼ぶ。
嘗て人間、もとい軍隊はハウンドウルフの存在を否定し抹殺計画というのを決行し、一時期ライカンは絶滅寸前に陥った。
と少し説明を行っていたら、いつの間にかクロカゲとダレンの姿は無かった。
寂寥感溢れる虚空には、獣の影がゆらりと浮かんでいた。