ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: リディラテは微かに笑う。 ( No.19 )
- 日時: 2011/01/26 22:25
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
- 参照: あの女、登場。
第二章 「人里離れた獣の里」
「入るぞ。」
クロカゲは静かにそう言うと純白の家のドアを開ける。
中は見た目とは離れ、綺麗という言葉で片付けるレベルでは無かった。
「あれ、誰 あ、クロカゲじゃん。」
「お前の記憶回路はいつもぶっ飛んでんな。」
「そうでもないよ、ただ私がおかしいだけ。」
目の前で優雅にも紅茶を嗜んでいた女がローンプラシックなのかは俺に分からない。
しかし、何か分からないオーラが身に染みる。
頬のキズが特徴的で、なおかつ茶髪でワンレングスの女は異様と感じられる。
そして奥に見える男でも普通に扱え無さそうなライフルが何度も目に入る。
「んで、その子誰。」
「旅人らしいけど、珍しい銃を持ってんだよ。」
さりげなくクロカゲは俺が持つ銃の事を口に出す。
確かに形色は珍しい物だが、逆に言えばただそれだけだ。
「…ふうん、まあ私ライフルとナイフにしか興味無いし。」
女はそう、銃に対しての興味はゼロという事を誇張し言葉を発する。
そしてローンプラシックの本質を俺は知る事になる。
「狼狩りに連れてってやらないか、こいつを。」
クロカゲはそう言うと俺を女の前に出し、紹介を行う。
女は内心こんな奴連れて行ったらすぐ死んじまう、と思っているだろうと俺は予想してみる。
「う、ううん…死んでも保障は取らないけど、さ。」
クロカゲの言葉を否定するかの様に手を前に出しながら女はそう言う。
「こいつは“死なない” だから連れて行ってやってくれ。」
クロカゲの“死なない”という言葉が妙に引っかかった。
俺は不死身でも無いし、不死鳥でもない、極々普通の人間だ。
普通の人間が“死なない”となると一体それはどういう領域に達しているかが俺は否めない。
「あ、私の名前はミシェル・S・ラーネグス ローンプラシックやってる、いよろしく。」
女、もといミシェルはそう言うと右手をサッと差し出してくる。
俺はそれを気持ちよく受け取り、左手でグッと握る。
その握手と共に俺は狼が居る山、クルーシ山にへと向かった。
そして再び虚空に浮き上がるのは獣の影だった。