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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: リディラテは微かに笑う。 ( No.20 )
- 日時: 2011/01/27 17:43
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
- 参照: 本領発揮
俺は今クルーシ山という所に向かっている。
クルーシ山へ行くには車で約15分と充分近い。
だがその距離が俺にとって恐怖を引き立たせるスパイスと変わる。
そして周りに見えるのは殺風景な景色のみで、特に変わった所は見当たらない。
徐々に不穏な空気が周りを包み心なしか鳥肌が立つ。
「ううむ…」
大した言葉も出ず今の状況に思わず唸り声が出る。
むしろ自分が不甲斐無いと感じ、前向きに考えようとしても思考が言う事を聞かない。
「初めてだから緊張するって奴?」
俺が乗っている車を運転している目の前の女、ミシェルは嘲りの意を込めて言葉を発してくる。
「……どうでもいい、だろ。」
図星、でも無いが口が詰まる。
薄汚れた窓から見える景色は何とも言えない。
「はあ……」
今日何回目のため息だろうか、と俺は思いカウントを始めるがすぐに中止する。
中止と同時に大きな山が視線に入って来た、まさかあれがクルーシ山なのか。
いかにも禍々しいオーラを放つその“山”は何処かしら悪魔を連想させる。
『The devil lurks town』
脳内に一つの単語が蘇った。
ビクン、と背中が痙攣の様な症状を起こす。
恐怖、恐怖が脳もとい体全てを支配している。
変な感覚が全身を駆け巡り、挙句の果てにめまい、嚥下困難の様な症状が襲う。
目の前は歪み、キキーッと車が止まる音だけが耳に入った。
悪魔という言葉で片付けられる感覚では無かった。
目の前の彼女、ミシェルも段々と掠れて行き、果てには。
目の前が漆黒に染まった。
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