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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: リディラテは微かに笑う。 オリキャラ大募集!!! ( No.47 )
- 日時: 2011/02/02 20:18
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
- 参照: http://nicosound.anyap.info/sound/sm11323465
「……………………………………な、」
恐怖が全身を包み、声すらまともに出やしなかった。
「…………………………………フン。」
俺の息をあしらうかの様に、影は鼻息をたてた。
それは俺を包み込む恐怖を更に倍増させ、尋常じゃない悪寒が全身を漂う。
悪寒はまるで蛇の様に全身を漂い、気持ちの悪い感覚が襲う。
「………………殺、人犯か。」
所々詰まる声を必死に口から出しながら俺はそう訊いた。
何の反応も、何の返事も無く冷たい風は背中を押す。
少し間が開いてから、目の前の“男”は口を開いた。
「死にたいか?………それとも生きたいか?」
単純な質問だった。
俺の質問には何も答えず、逆にそれを遮り質問を被せる。
混乱を引き起こす一つの手段だった。
答えたくないのかは分からないが、相手は俺をこの世の者にさせなくする気がプンプンと漂ってくる。
だったら、俺が逆に返せば良い。
所詮は延命に過ぎないが、それが一つの綱になる。
その綱に俺は全力をかけ、手で掴む思いだ。
「…………………………先に死ぬのはどっち、だろうな!?」
俺はそう大声で言い放った。
槍の如く言葉は相手に突き刺さり、見事挑発として成立する。
だがそれだけだった。
風が揺らいだ。
「……………………ご、ふ……………」
刹那、ズゴン、という鈍い音と共に男の拳が俺のみぞおちに突き刺さる。
一瞬肺が止まった様な感覚が全身を駆け巡り、挙句の果てには赤い液体が口から垂れる。
それ程異常な威力を持った男のパンチは、視線を狂わせた。
「どうした?それで終わりか?」
男はそう言葉を吐いた。
挑発だと分かっていたが、それでも怒りは収まらない。
いつの間にか口の周りは鮮血で溢れ、吸血鬼の様に赤く染まっている。
「…………………………ま、だ始まったば、かりだ。」
今思うと、ただの負けず嫌いだったのだろう。
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