PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: リディラテは微かに笑う。 急展開。 ( No.50 )
- 日時: 2011/02/03 19:06
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
- 参照: http://nicosound.anyap.info/sound/sm11323465
「……………………意地は張るな、早く死.ね。」
男はそう言い放った。
言葉は耳に入らない、ただ自分の命を守るために延命作業を続けようとするだけ。
常識外れの威力を持った男のパンチは、俺の寿命を急激に縮まらせる。
恐怖と共に死を告げる時計は刻々と動く。
「……………………ま、だ死に足りないんで、な。」
酸素が徐々に体から消えていくのが分かる。
必死に口を動かして、俺は言葉を発した。
そして力を振り絞り、男に向けて拳を振りかざす。
「……………ぁぁぁあああああああああああっあああああああああぁぁあああっああっああァァ!!!………」
俺は大声を出し、邁進しようとした。
そして俺の拳は男に向けて突き進む。
その瞬間、メキメキという何かが潰れる音がした。
「………………………………が、は…………………」
潰れる音を放ったのは俺の拳ではなく、“男”。
男の顔は高熱を浴びた鉄の様にひしゃげ、とても見ていられる光景では無い。
もちろん男の顔が潰れ崩れた事にも驚いたが、その男を軽く凌駕した紅いフランベルジェを肩に置きながら俺を睨む女。
「あーだるい、この男魔物だったらしいね…ゴーレム。」
女はそう言うと、驚きの残る俺の顔を小さな右手で軽く叩く。
ペチペチと自分でも情けなく乾いた音は静かな場に響き渡り、視線はやがて今でも悶え苦しんでいる男に移る。
「…………………あんたは、誰…だ?」
俺は質問をし、今でも痛みが続く腹部を左手で軽く押さえる。
ゲホゲホと少し咳をすると、口からは赤い液体が垂れる。
「………………相当やられたようだね、まあ…………ついてきな。」
女はそう言うと、俺に背中を向け歩いていった。
男に殴られたのが相当印象に残ったのか、俺は場に残れる精神では無いので、仕方なく女の後を付いてゆく事にする。
PR