ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: リディラテは微かに笑う。 急展開。 ( No.55 )
- 日時: 2011/02/04 21:30
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
- 参照: 謎の組織_フロンティア_始動。
「なあ…………………………『フロンティア』よ…………」
男は尋ねた。
「……………………殺せるのか?………………俺を…………」
再び男は尋ねた。
虚しく残ったのは風。
そして存在もしない何かが質問に答えた。
「……………………三秒、三秒でお前を殺せる 逃げたければ逃げろ、それが今死を目前に控えた人間の使命だと思え、凡人よ。」
その後男は鮮血と共に死んだ。
そして、幻想は現実を狂わせる。
第四章 「狂い始める歯車のワルツ」
「ふうむ………」
感想を述べる事が出来ない。
この紅いフランベルジェを肩に置きながら飄々と歩く女の背中には猜疑感を抱く。
だがそれよりもトラウマなのは、あの巨大な男に殺されかけた事だ。
そしてその場で救世主を飾ったこの女には感謝したいと思う…が。
明らかに怪しい服装、そしてフランベルジェ、それで今俺をどこかに連れて行こうとしている。
俺がもし、もし小さな子供だったらこの女は誘拐犯扱いの視線で見られる事間違い無しだ。
自分でも訳のわからない事を頭で考えながら、手でソッと口にこべり付いた血を拭く。
「………どうしたのさ、てかそろそろつくよ。」
「質問には答えないけど、俺を誘拐するとかそういう魂胆じゃないんだろうな?」
「旅人の身包みなんて剥がさないよ、安心しな あーだるい。」
女は何もかも面倒臭そうに、俺の質問に意気揚々と答える。
その明らかに面倒そうに答えた言葉に俺は口から何も出ない。
とても憂鬱だった。
バチバチッ!
その時、瞬間的に火花が俺の周りを駆け巡る。
「チッ…………… フロンティアの集団か…………」
フランベルジェを担いだ女はそう言った。
フロンティア、聞きなれない言葉に俺は大量の疑問を生む。
だが疑問に自問自答している状況ではなかった。
「ヴァンダー! 今日こそぶっ殺してやるぞクソアマァッ!」
威勢の言い雄叫びの様な荒々しい声は耳にすぐ届いた。
火花をプレゼントした不謹慎なサンタさんはどうやらアイツの様だ…が。
「ヴァンダーさんは貴方が大嫌い、早く失せてくれるととてもありがたいんですけどー」
女はそう答えた。
女の名前はヴァンダー、一つの小さな疑問が今脳内で解決され、束の間の安堵を俺は精一杯受け取ることにする。
だが火花は止まない それどころか増すばかりだ。
「ヴァンダーァッ! てめえの戯言はいいんだよォ さっさと死にやがれクソアマァッッ!!」
火花を発しながら、溺れる男は言った。
ヴァンダーは顔を顰めながら、喋る事すらしない。
「————————————それ以上言ったら、殺.すよ。」