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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: リディラテは微かに笑う 番外編Up!! ( No.77 )
- 日時: 2011/02/09 17:30
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
女がコーヒーを口に飲む作業を俺は凝視していた。
しかしそれだけ訊くと俺が悪趣味の変態みたいなので、一応否定はしておこう、俺にそんな趣味は無い。
しかし不思議なものだ。
「………ははーん。」
瞬間、目の前でコーヒーを嗜む女の姿が消えた。
一瞬の出来事に俺は困惑を隠せず、嫌な汗が全身から噴出す。
「………な……!?」
クロカゲの武器屋は一瞬にして女の居た部分だけが激しく刈り取られる。
木製の床板はまるで重い何かを高い所から落とした様に深く下に潰れている。
しかし場の状況を一つずつ説明して行くのなら、とても時間が必要だろう。
「………やっべぇ……」
好奇心を抱く胸とは違い、頭には不安がよぎった。
寂寥感溢れる場の空気はシーンとしており、女の居た場からは冷たい空気が流れてくる。
しかしそんな事に疑問を抱いている場合では無い。
忽然と消えた女の姿を捜し出さなければ。
「助けてくれたのあいつだしなあ…助けるか。」
面倒臭そうに俺はヒーローを気取ってみる事を今日だけ選んだ。
「…どこだ……?」
俺はボロボロと崩れた床下に潜入してみる。
いかにも泥棒が潜んでそうな床下は恐ろしい程汚く、ネズミが何度も横を通り過ぎる。
しかし女の姿はどこにも無く、虚空が悲しくヒュウと返事をするだけ。
女が消えた時の状況をまた考えてみると、上に消えたのか下に消えたのかが良くわからなかった。
そして女の姿が消えた直後に見えたのは崩れた床下と割れたコップ。
捜索を続けていると、良くわからない場所に至りつく。
崩れた場所とは離れているのに、壊れた鉄芯を見つける。
不自然に破壊された鉄芯は、今さっき起こった事件と何か結びつきそうだ。
「…おっとストップだ、少年。」
後ろから若々しい青年の声が聞こえた。
そして背中には冷えた鉄の様な感触が服から伝わる。
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