ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: リディラテは微かに笑う 第六章開始 ( No.81 )
- 日時: 2011/02/10 20:51
- 名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)
「…良いから離してくれ、アンフェアな戦闘は嫌じゃないかい?」
俺は尋ねた。
むしろ野暮な質問に近いと思い、返事に胸がドキドキする。
それと同時に圧迫感が体を通る様な不思議な感覚が体を駆け巡り、一瞬めまいがしたと思ったら男からの手中から離されていた。
それに気付かず俺は勢い良く地面に顔面からダイブした。
生憎デンジャーな30日といえど寒い日は存在する。
今回はちょうどその寒い日だった様で、冷たい風は吹き荒れ俺は冷えて固くなった地面に額を直撃させる。
「…じゃあ始めようか 愉快で滑稽なショーを!」
男はそう叫ぶと、一瞬 瞬きもしない一瞬の間に俺の横に居た。
しかしさすがに連続で瞬間移動をされると何とも驚きが減る物だ。
移動などをまったく脳裏に浮かべず、俺は冷静に対処を行う。
腰に付けてある銃に手を掛け、引き金をホワイト目掛けて連射する。
乾いた音は大音量で耳に響き、段々と止んでくる、がホワイトの姿は見つからない。
虚しく薬莢が地面に転がっている様を後ろで嘲笑しているのはまさしくそのホワイト自身だった。
「不思議だ 何とも不思議だよ…… 能力に近代武器を使用するなんて滑稽だ! アーッハッハッハ!」
男は高笑いを済ませると、先ほどの反り返った刃を持ったナイフを光らせる。
高笑いと反り返った刃のナイフはとっても合わないコンビだな、と心の中で少し笑うと俺は走った。
もちろんホワイトという白い男目掛けて足を動かし、走り抜けた。
しかしまた瞬間能力で姿を消すのはもう予想内だ。
ならば移動する場所を予測して、その時に仕留める。
予想通りホワイトは虚空に姿を消し、気がつくと後ろに居た。
「また同じ事を繰り返すのか… フフフ、それでこそ…だ……」
不気味な笑いと共に言葉を発するホワイトの姿は狂気に満ちていた。
狂気に満ちたホワイト…もとい白い男の姿は狂い果てていた。
むしろ血を求める狼の様で、寒気がしてならない。
「あー…そう……ね……」
随分と反応に困ってしまったのは何故だろうか。