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Re: リディラテは微かに笑う 参照300!! ( No.84 )
日時: 2011/02/11 09:58
名前: とらばさみ ◆rL9ltCA.s2 (ID: cebg9jtM)


俺の怪訝そうな反応を他所に白い男は高笑いを続ける。
何の意味も無く高笑いをするさまは何処となく翳りがある様な気がして仕方がない。

「アーッハッハッハ……」
高笑いを終えたと思うと、白い男の姿が消えた。
ただその場に残っていたのは虚空だけで、人の姿などは微塵も無い。

「……ッ!」
俺は白い男の場所を推測し、銃から弾丸を放つ。
弾丸は空気抵抗を受けながらも適当に撃った場所に駆け抜ける。
だが、地面に弾丸が当たる音がしただけだった。

「チッ…… どこだよ……」
本来なら姿は現すはずなのに、今現在では姿はおろか視線すらも感じない。
俺は少し舌打ちすると、周りを見渡してみる事にする。
冷たい風が俺を一押しする中、やはり白い男の姿は見えない。

「……どこだ……?」
再び周りを見渡してみるも、冷たい静寂しか残らない。
と思った瞬間だった。

まさか居ないだろうと思い上を見てみると、そこには白い男の足…いや靴底が見えた。
そして男の手に視線を逸らすと、やはり反り返った刃を持つナイフを握っている。
完全に俺を殺しに来ている、と確信した瞬間だった。
しかしそんな事を思っていても勝利に繋がるわけではない。

俺はその白い男の靴底を華麗に避けると、ある言葉を思い出した。

「……ここは確かクロカゲの武器屋の近く……」

『俺の武器屋の後ろに崖があるんだけど、ライカンが巣を作ってる様なんだ。』
いつクロカゲが発言したか分からない言葉を俺は思い出した。
俺が寝ている時に呟いていたのかもしれないが、今ならそれを確かめられる。

俺は白い男を他所に崖と思われる方向に走ると、やはりあった。

「どうしたのかな……? もう終わりかい……?」
皮肉を吐く様に白い男は俺に尋ねるが、それを無視して俺は崖の方向を見つめる。
一匹 二匹 三匹 四匹…とライカンが集まっているのが見えた。

「少しいいことを教えてやろう」
白い男はそう衒学趣味な知識を披露しようとする。

「俺の瞬間移動…テレポートは変わっている。」
先ほども訊いた様なきがするがもうどうでもいい。

「俺が恐怖に陥っている間は瞬間移動が出来ない… 例えば…絶体絶命の時とか、だな。」
勝利を確信した