ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 五つの光、クリスティン。オリ募集、協力してくださる心優しい方 ( No.17 )
- 日時: 2011/01/26 19:41
- 名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)
ガシャーン、ガシャーンと音が聞こえる。
煙がもくもくと上がるのは綿飴か何かが生成されているようにも見えた。
そしてそのなかでつなぎを着て働く人々の姿があった。
少し離れた都心とは違い、汗水流して働いている。
俺からすれば、都心の人間より、此処の人間のほうが良い。
「ねーねー、都心に戻ろうよ〜…」
エリアルはやはりどこかの御曹司を探しているらしく、此処には興味がないようだった。
「あのな…勝手に戻ればいいだろ?俺は探してるものがあるんだ。『ソレ』はあんな都心にはない…はず」
語尾は曖昧だが、あの都心に『光』があるとすればとっくの昔に欲の深い人間によって見つけられているだろう。
それがないと言う事は、この離れた工業地帯にあると考えたほうが自然だ。
さっさと歩き出す。エリアルもしぶしぶそれに続く。
…ただ、どうしようか。
分かっていることは『光』がこのゴールドミレにあって、それを守っているのは強い者だ——ということだけ。
それだけなんだ。
そこでここらで一番年をとっている人物を探すことにした。長老くらいの年齢だと、何か知っているかも知れなかったからだ。
「ちょっと、すみません」
俺が声をかけたのは近くを通りかかった、澄んだイエローの瞳を持つ青年だった。その青年はにこやかに笑うと
「どうなさいましたか?」
なんて言った。よかった、いい人そうだ。
「この辺りで働いている人の中で一番の年寄りは誰か聞きたいんだが…」
そういうと、青年は少し考えてから口を開いた。
「それでは…ジェルバ工場長が一番ですね、此処をまっすぐ行ったところにある工場におられるはずです」
「そうか、有難う」
青年に手を振り別れた後、さっさと工場に向かった。ちなみに、エリアルもちゃんと着いてきている。
* * *
「御免くださーい!」
先に叫んだのはエリアルの方だった。
しばらくすると奥から眼鏡をかけた老人が出てきた。
「どなたかな」
おそらく工場長だ。
「俺はレンブラントのクリスティンと言う。失礼だが工場長、この歌はご存知ですか?」
そういい、あの歌を歌った。歌い終えると工場長は言った。
「いかにも、昔からこの星に伝わる歌だと聞いている。ただ歌詞が少し違うな。ワシ達の国では
何処にあるか、というのを歌っているらしい。他の国は共通だそうだがな」
此処まで一度にしゃべりきると、一拍あけてこういった。
「ところでクリスティン殿。お前はその、『光』を探しているのか」
「ああ。だからその場所を教えてくれ」
少し道が見えた——!
「とても厳しい道だ。お前なんぞが行けるところではないと思うが…」
「それは、旅に出るときに覚悟していたことだ。問題ない。教えてくれ…!!」
俺は知らず知らずのうちに頭を下げていた。
しばらく沈黙が続いた。
…といっても外でひっきりなしにガシャーンという音だけは響いていたが。
またしばらくして工場長はうむ、と頷くと歌を歌いながらメモに場所を書いてくれた。