ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 五つの光、クリスティン。  ( No.59 )
日時: 2011/03/05 15:25
名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)

俺は歩きながら、全員に全ての作戦を話す。
それを聞いてエリアルは頭に?を浮かべたようだったが、あとでリリバがしっかり説明
してくれるだろう。

牛達の様子はまだ変わらない。
白蛇にも関係あるのだろうか。風が吹き始めた。空も西から黒い雲が流れて来、
昼なのに真っ暗になった畑は確かに何かが出そうだ。

「この先真っ直ぐ行ったところに石があるんです。その石を押せばいいんですよ」
後ろ歩きをしながら人差し指を立てて説明している。
そのようすは先生のようだ。

俺は、リリバが転びそうだ、とか思いながら空を見上げた。
——嫌な天気だ。

「ふぎゃっ」
リリバが長い髪をふわりとさせ、思いっきり顔から転んだ。
嗚呼、やっぱりな。

「大丈夫で御座るか?今から白蛇とやらを倒しに行くのであろう?しっかりせねばな」
「すみません〜」

鼻を押さえながら歩くリリバは何かを見つけたように遠くを指差す。

「あ、あれです。アレを押すと祠へ繋がります!」
指差した向こうには大きな石。…ああ、岩と言ったほうがあっているな。
フィアンマが疾風のように走り岩に飛び乗る。

ガシャコーンと岩ではないような音がし、かなりの大きさの穴が開いた。

バックのなかの剣は光を増しているようだ。
少なくともハーベリンからもらった、リリバの父、グレイの形見が剣に近づいたときよりは
強く光っている。

俺が先頭に行き、奥へ奥へ進んでいく。
地下水が垂れているのか、水が滴る音が聞こえ、狭く暗い洞穴いっぱいに
響いている。

剣の光を頼りにし、前に進むと壁に当たった。

“この地に住まう白き蛇 それは我らに豊作をもたらさん
それいる所 よく肥えた土地也”

——ビンゴ!
俺の推測が当たったので、全員がニヤリと笑った。


…!?
地震だ。しかもかなり揺れているようだ。

立っているのも困難で、上からもぱらり、ぱらりと土が落ちてきている。
崩れてしまうかもしれない。

…だが。

向こうから地面を這わせ、大きなものが近づいてくる音がしている。


「きっとあれが…白蛇です…!」
リリバの恐怖と少しの興奮の色の見える顔が見えた。