ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黄泉の夜空 ( No.12 )
- 日時: 2011/01/29 12:54
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: http://ameblo.jp/pokemon19/
第三話
最後の勉強も終わり、家の帰り道へと歩いた。
と、言っても1人ではなく・・・。1人で出来れば帰りたいのだが。
「洸河よ、今日もゲームだぞ。」
「もちろんだ、横井 怜太郎くん!」
騒がしい。足早に1人で家へと帰った。
遠くから、「おい、涼ぉぉぉぉ!」と声がする。
探しても無駄だ。俺はもう家のドアノブに手をかけている。
家の扉を開け、靴を脱いだ。
食卓から皿洗いをしているのか、水道の水が出ている音がする。
お母さんが「おかえり」と言ってきた。
「・・・あぁ。」
二階へと上り、ベットにゴロンと寝転んだ。
ベットに寝転がれるのは・・・二番目の快感だ。
そして俺が待つ夜の月はそこまで顔を出していた。
俺は夜が好きだ。
夜は一番黄泉に近い時間。
・・・いつでも
死ねる時間---------------------
ただ俺は自分では死なない。
誰か殺してくれるのを待つ。自然でもいい、殺人鬼でもいいんだ。
とにかく・・・この世の記憶から消えたいだけだ。
でも死はいつも俺のそばにはいない。
テレビを見ててもよく思うんだ。
幼い子供を殺す殺人犯。こんな幼い子を殺すぐらいなら・・・俺を殺せと。
「涼ー!ご飯よー!」
気づけば寝ていたのか、窓を見れば紺色の空。
光り、散りばめられる星達。そしてこの世を覗く大きな月。
「やっとか、一日も長かったな。」
そう一言呟いて、食卓へと降りた。
兄貴はもう、飯をほお張っている。
冷たい目で見てやったら兄貴はブッとご飯粒を口から飛ばした。
「汚いぞ。」
「てめぇの顔のほうが汚ねぇわ!!あぁ・・・ご飯粒が〜。」
ご飯粒を布巾で拭き取る兄貴がなんとも恥。
椅子にドスンと座り、箸を取る。
テレビは情報番組だ。
「世の中物騒だよなぁー。」
ご飯を拭き取りながらテレビをチロチロみている兄貴。
俺はコクリと頷いた。
テロップには「幼稚園児がひき逃げ事故に」と書いてあった。
・・・愚かだ。
逃げてもどうせ見つかるんだ。
ならそこで、助け舟を渡せばいいのに。
しばらくして父さんが帰ってきた。
父さんは、医師でいつも帰って来る時間が遅い。
案の定時計を見れば、11時だった。
俺は兄貴の部屋に行って、いろいろと雑談をしていた。
明日は土曜日だからな。遅くまで起きるつもりだ。
と、いうより夜を満喫したい・・・からかな。
父さんが下で母さんと話をしている。
よく話を聞いてみる。
「ここらへんて、ちょっと人通り少ないだろ?」
「えぇ。」
「・・・悲鳴が聞こえてさ。何かと思ってそこへ行って見てもなにもなくって。」
「まあ、物騒ねぇ。」
兄貴は雑誌から顔を俺へと向けた。
俺は、コクリと頷く。
時計は12時にいきかけていた。