ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黄泉の夜空 ( No.13 )
- 日時: 2011/01/28 20:57
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: http://ameblo.jp/pokemon19/
第四話
「おいおい〜、もう丑三つ時だぜ〜?」
兄貴が時計を見ながらニヤニヤしている。
ハッキリいって、気持ち悪い。
あえて、言わなかった。
プルルルルルル
俺の部屋の電話が鳴る。
スッと立ち、扉を開ける。
「うわわ、待ってくれ!俺も一緒についていく!」
俺の後ろで兄貴が駆け寄る。
今日一番引いたかも知れん・・・顔が青ざめる。
直ぐに兄貴の顔を逸らし、電話を取った。
「よぉー、涼!!」
「・・・洸河。こんな時間になんだ?」
「えぇ〜?ホラ、暇だろ?遊びに行っても------
受話器を電話に戻し、兄貴の部屋に戻る。
兄貴は電話と俺をキョロキョロ見つめ、俺について来る。
こんな時間に電話する馬鹿がいるか・・・?
兄貴にベットにゴロリと寝転んだ。
「おおい、ちょちょちょ・・・!!俺のベットだっつーの。」
「・・・寝ない。せめて寝ころがせろ。」
兄貴は「けっ」と言いながら、ジャッとカーテンを開けた。
そしてそれから、夜空を見つめている。
俺も気になって、夜空を見つめた。
「あのさ、さっき雑誌読んでたら今日、流れ星が流れるんだと!」
「だから、願い事をしようと?」
「あぁ!」
目をキラキラ光らせ、夜空を見つめる。
・・・このごろ兄貴はどうかしてるぞ。
お前は男だろ。
なに乙女チックなこと言ってるんだ。
俺はテレビの電源をつける。
この時間帯、これといって面白いものはない。
ボーッとしながら見るくらいだ。
「おおおおおぉぉぉぉ!!流れた流れた!あ。願い事言うの忘れてた。」
そんな大声も無視する。
カタリと写真の額縁が落ちる。
拾ってみてみると・・・
「・・・浜崎。」
いつも見るたび、眉間にシワが寄る。
俺を付回す、ストーカーのような女子・・・浜崎 梓織。
コイツは俺が中2の時に同じクラスだった。
その時は別に興味さえなかった。でも、相手はどうだ。
日に日に思いを寄せ、時が経つ度近づいてくる。
逃げてもあいつの視線が蘇る。
いつも後にいるような・・・そんな感じ。
今もずっと、見ている。
今日だって、帰り道だって・・・影で嬉しそうな目で見ている。
足早に帰った理由もその一つだった。
「おい、涼?顔引きつらせて・・・。」
「・・・いや、何も無い。」
額縁をベットの底にしまい、忘れようと目を瞑る。
俺はこの世で一番アイツを嫌悪する。
俺は言った。
「お前は俺のことが嫌いだ。」
と。アイツは下を俯いて、後を振り返った。
「そうだよね、知ってるよ。」
知ってるなら・・・来るな。
俺から離れてくれ。
嫌いと言ったのに、まだノコノコと来ている。
「寝る。おやすみ。」
「えっ?ひ、1人?!おおおい!!」
兄貴の嘆きを無視し、自分のベットの布団を被る。
カーテンから、月の光が射している。
その隙間からフードを被る青年。
「さ、漣・・・?」
ジッとこちらを見つめている。
するとアイツの口元が歪む。
笑っている。俺の顔がそんなに面白いのか?
と、いうよりなんでこんな時間に・・・
俺は冷たい目でしばらく見つめた後、眠りについた。