ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 黄泉の夜空 ( No.19 )
日時: 2011/01/29 13:12
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

第八話

あれから、何日経ったろうか。
案の定、あの子は・・・4日後に亡くなった。
僕はその時のお母さんの顔を見るのに・・・もの凄く勇気がいった。
患者さんの量は、減らない。今日も沢山。
昨日、患者さんはどれだけ亡くなったか・・・。

「先生・・・。」

僕は声のするほうへと顔を向けた。
そこにはお盆を持った看護婦が僕のほうを心配そうに見つめていた。

「目に隈が出来てますよ・・・。休みましょうか?」

「・・・休んでる暇なんて、ないかもしれないよ。」

「そうですよね。でも、一応・・・コーヒー持ってきました。」

僕は湯気が立つコーヒーを目にし、何か急に休みたくなった。
コーヒーカップに手をかけ、机にコトリと置いた。

「やっぱり、いただきます。カフェインの補充をしないと。」

僕はコーヒーを飲みながら、カルテに色々な情報を書き込んだ。
ここ以外の街にはこれといっておかしな病は流行っていない。
この街だけと思うと・・・怖くてしょうがない。

だが、マスクを外したり、手を洗わなかったりしても感染しない。
これは・・・病か?

「大室先生!色々とまとめてきましたよ。」

精神科・脳外科を担当する医師、赤瀬 佐助先生が僕の診察室に入ってきた。手には色々な資料。

「いや〜・・・今まで、患者さんを見てこういう風にまとめてきました。」





〜症状一日目〜
・頭痛
・軽い過呼吸
・脈・心臓の速さの異常

〜症状二日目〜
・頭痛(強)
・過呼吸
・体の痺れ

〜症状三日目〜
・精神の不安定
(誰もいないのに誰かと喋っているようになる。)
(感情の不安定。)
・意識不明

〜症状四日目〜
・死亡

そう、紙に書いてあった。
最初は軽い風邪かと見間違えてしまう。
だが、こういう風に見てみて思った。

「一度発症すれば・・・助からない--------!」

「ど、どういう・・・。」

赤瀬先生は疑り深いような顔で僕を見つめた。
コーヒーを飲み終わり、カップを看護婦の女の子に渡した。
そして椅子から立ち、カーテンから透けて見える空を見つめた。

「薬がない。それに、このまとめを読んでいると・・・発症と同時に、危険レベル5に一気に跳ね上がる。この間発症一日目の子を診察したが・・・。」

「・・・それに・・・感染しない。」

「そう。菌も見つからないからね・・・。薬の探しようもないし・・・。」








僕はまた椅子に座って、カルテを見つめる。






「これは、前代未聞の殺人菌が出た・・・。かかってしまえば、お終いだと覚悟しておいてくれ・・・。」