ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 黄泉の夜空 ( No.20 )
日時: 2011/01/30 20:16
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

第九話

「よーよー!和正ぁ〜。」

診察室に入ってきた、この男。
僕の幼馴染の「相川 宗哉」。近くの総合病院の内科である。
僕たちは同じ道を目指し、同じように今を生きている。
彼だって同じようなことで今、悩んでいるはずだ。

「おい、俺が何言いに来たかわかるよな?」

「もちろんさ。」

僕は亡くなった患者さんの死亡カルテを宗哉に見せた。
まじまじとカルテを見詰める。

「妙な死に方だろ?皆同じように亡くなっている。」

「・・・俺んとこの患者と同じ死に方だ。」

僕はコーヒーに口をつけたが、意外なその一言を聞いてピタリと止めた。宗哉はカルテを机において、腕組みをする。

「これは不治の病。まあかかれば死んだも同然だ。これは感染症じゃないし・・・解決のしようがないんだよなぁ〜。」

「今、薬局総動員で特効薬を作っているけど・・・。」

僕はパソコンで今の状況を宗哉に見せた。
宗哉は目を細め、心配そうに画面を見つめる。

『菌と薬の相性:0』

全く効かないということ。
薬を使っても、溶けてしまってラムネを飲んでいるようなものだと薬局長は言ってた。今は感染を防ぐために手洗い・うがいを心がけて置くようにと言っているが・・・患者の数は絶えない。

「俺のところも結構いい情報・・・来たぞ。」

宗哉は紙を取り出し、僕に渡した。
・・・耳鼻科の橋野先生が書いたらしい。


〜死亡してからの状態〜
亡くなる前は標準の聴力、嗅覚だった。
だが、亡くなった1時間後にずば抜けるくらい上記の二つは上がっていた。人間には到底無理だというぐらい大幅に。


「・・・なんとも妙だな。」

「なっ、だろ?死んでからじゃ、体は全機能停止すっからよ絶対に無理なんだが・・・。」

「これは貴重な情報だ。とっておくよ。」

僕は手渡された紙を引き出しに締まった。
宗哉はそれから僕に気になることを聞いた。

「お前、患者の傷・・・怪しいと思わないか?」

「患者の傷・・・?」

「おま・・・!分からなかったのか?!」

僕は宗哉に入院室に連れて来られた。
宗哉は1人ずつ、患者を指差した。
僕はその指を目で追いかける。

「--------------!!」

患者の腕や、足には包帯が巻いてある。
その患者は皆、その不治の病の患者。
まさか、傷が関係してるのか--------?

「ハイハイ、皆さん!ご飯の時間ですよ。」

看護婦の「原野 真由子」さんが入ってきた。
原田さんは患者さんのことをよく面倒を見ているため、なにか分かるかも・・・。

「原田さん、患者さん達・・・怪我してるけど・・・。」

「そ、そうなんです・・・。皆さん、とっても深い傷で・・・。抉れてるどころじゃないんです。それに、包帯も巻かず・・・何の手当ても無かったんですよ。」

やはり、傷からの感染か・・・!
僕はあるご年配1人の患者さんに話を聞いてみた。

「この傷・・・どうして手当てをなさらなかったんですか?ご家族にしてもらわなかったんですか・・・?」

「・・・しなくていいと、いったんじゃ。」

「しなくていいわけないでしょ!このまま・・・死ぬかもしれないんですよ!」

宗哉はそんな怒鳴り散らす僕を見つめる。
「やめとけ」ってことか・・・。
僕は患者さんに一礼して、診察室に戻った。
なんてことだ、もう長くは生きれない患者さんに・・・怒鳴るなんて。

「宗哉・・・。僕は、なんか焦ってるみたいだね。」

「俺もだ。次々に人が死んで行ってる。このまま放っておくわけにはいかねぇだろ?」

宗哉は自分の病院へと帰っていった。
しかし、さっき聞いた患者さん・・・様子がおかしかったな。
他の人は普通に寝てたり、精神異常だったけど・・・あの人だけボーッとしてたな・・・。

「・・・明日、あの患者さんを検査しよう。」











大室 和正編-----------続