ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黄泉の夜空 ( No.29 )
- 日時: 2011/02/04 21:05
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: http://ameblo.jp/pokemon19/
第十二話 〜浅岡 涼編〜弐話
つけてくる・・・後ろから。
俺をトロンとした目で・・・じっと見つめる。
街灯から見えてるんだ・・・!!
「なんだ・・・さっきから。浜崎。」
ソソッと隠れるが、分かってる。
ホラ、好きな奴がイヤイヤみてやってるんだ。この機会(チャンス)を逃すつもりか?
少し苦笑いしながら出てくる、浜崎。
女もストーカーってするんだな。呆れる。
「さっさとあっち行ってくれ。目障りだ。」
「ひっど〜い!そんな言い方ないっしょぉ〜。」
頬を膨らませ、腰に手を当てている。
・・・まるで漫画みたいな怒り方だ。
「目障りだ。」
「ごめん、ごめん!あたしのこと嫌いだったもんね。じゃ、バイバイ!また明日ね。」
嫌いだと分かってるなら・・・近寄るな。
それにまた明日・・・?ふざけるのも大概にしろ。
・・・不覚にも同じクラスだが。
俺が今向かっているのが、白道市の真ん中にある「蘇阿湖」。
静かで、人は滅多と来ない。
小さな森を歩き、蘇阿湖に着いた。
「いつ来ても・・・ここは落ち着く。」
と、思っているのもつかの間だった。
あの、元祖ムードメーカー野郎が来るまではな。
愉快そうにスキップしてるのか、草を踏む音がリズミカルだ。
まさか、俺がここに居ることをしってて来てるのか?
「う〜っす!!やっぱ、ここだなぁ?!」
ひょこりと金髪のポニーテール、洸河が出てきた。
・・・終わった。俺の静粛の時間。
たった3分しか味わえなかった貴重な時間が、このちっぽけな人間1人に・・・ぶち壊されるなんて。
「何しにきた。」
「な、何って・・・。別に〜。」
いかにも理由アリって感じの顔だ。
横にある石を、そっぽ向きながら投げている。
「あるんだろ?言え。」
「だ、だからないって。」
「じゃあいい。この湖に落としてやる。」
「わわわわわっ!!結構です!!言いますよ!!」
洸河は、首を高速で横に振り、俺の手を止めた。
・・・チッ、あと少しだったのに。
「まぁー・・・最近来てなかったし・・・疲れたし・・・。」
「疲れた?らしくないな。」
俺はそっと、洸河の顔を覗き込む。
目にはくまが出来ており、寝てないようだ。
寝れる時間は沢山あったはずだがな。ゲームしてるときとか。
「そりゃ、寝たい。寝たいけど・・・。」
「寝たいけど・・・?」
洸河はそこから何も言わなかった。
ジッと湖を見つめ、自分の顔を映した。
「ひっどい顔だな・・・。俺の美顔が台無しだ・・・。」
・・・疲れてるくせにそんなことは言えるのか。
とにかく、俺は洸河に寝るようにと言った。
が、洸河は聞かなかった。これも理由ありか。
湖に落としてやると脅した。それでも、それだけは聞かなかった。
「・・・じゃあ、俺んちに泊まれ。そのほうが落ち着くだろ。五月蝿い兄貴も居るが・・・。」
「喜んでいかせていただく。」
夜も更けてきた。
長く居ると道に迷うため、早めに引き上げ、洸河と一緒に家に帰る。
俺のうちの近くは街灯がそんなにない。前も真っ暗で、車のライトぐらいである。
「いつ事故るかわからねぇな・・・。」
洸河はうっつらうっつらしながら、よたよた歩く。
相当眠いみたいだな。さっさと家に帰って寝かしてやらないと・・・別の意味で危険だ。
すると人影が見えた。
誰かとぶつかって謝ってるようだが・・・
「あ・・・、中井(総合病院)の相川先生じゃね?」
「ああ、確かに・・・。」
その後、相川先生は困惑したように冷や汗を垂らし、洸河も同じように垂らした。