ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黄泉の夜空 ( No.8 )
- 日時: 2011/01/23 22:15
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: http://ameblo.jp/pokemon19/
第二話
先生が入ると、全員席に着いた。
ウチの先生は、情に熱い。その代わり滅茶苦茶怖いので恐れられている。
俺は怒られたことはないが、見ているだけでビクビクする。
「さて、今日は新しい生徒がウチのクラスに来る。歓迎してやってくれ。おい、入っていいぞ。」
扉がガラリと開き、入ってきたのは奇妙な奴だった。
フードを深く被っている。顔までスッポリ隠れているため性別が分からない。
チョークを手に取り、黒板に自分の名前を書いている。
チョークをコトリと置き、前を向く。
『漣 彪世』
さざなみ あやせと読むのか?
随分と変わった名前だな。
「よし、一番端の席に着いてくれ。」
漣は黙って、席に着いた。
先生はダンッと教壇を叩く。
その合図は、今から授業を始めるという合図である。
生徒たちは一斉にノートと教科書を取り出す。
だが、漣は何もせずずっと先生だけを見つめていた。
チャイムが鳴り、礼をする。
「あぁー、終わった〜。」
あの金髪男が俺の元へとやってくる。
「なぁなぁ、アイツ・・・。」
漣を指差した。
俺はちらりと見て、直ぐに目線を逸らす。
ギギーッ
椅子から立つ音が隅からした。
コツコツと歩き、こちらへ向かってくるのがわかる。
その足音が近づくたびに、体の鳥肌が増えていく。
「・・・お前たち。名をなんと言う。」
「・・・え?」
俺の友人は目だけチロリと漣に向けた。
俺は、離れさすためにちょっと嫌味なことを言ってやった。
「フードを深く被り、現実を見ないのか。幼稚にも程がある。」
それを言うのにそれだけの勇気がいるか。
何かをされるかも分からないのに、挑発するのは難しい。
漣はしばらく黙ったが、口を開いた。
「・・・現実を見ないから、仮面を被る。それが、我の答え。次はお前たちの番だ。」
友人はわたわたしながら、自分の名前を名乗った。
「磯谷 洸河っていうんだ。よろしくな!」
「・・・浅岡 涼だ。」
俺の問いがあんなにも簡単に答えられてしまった。
これ以上拒絶する権利はないとして俺は自分の名前を名乗った。
正直納得いかなかったがな。
「・・・。」
漣は何も言わず、後を振り返り教室を出て行った。
礼儀もなってない。口調はえらくデカイ態度だし。
気に入らないな。
「不思議なやつだなぁー。」
洸河は漣が歩いていったほうを見ながら俺に言った。
「・・・フンッ。」
「あいつ、いろんな奴の名前聞いてるぞ。」
「・・・別にいいじゃないか。ほっとけ。」
興味ないやつはほっとく。それが俺のポリシーといったところだ。
興味ないというより・・・嫌いだな。