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- Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第四話更新 コメ求む! ( No.16 )
- 日時: 2011/02/12 15:00
- 名前: 風(元;秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: VGwfvbah)
コメント下さった方々有難う御座います♪
闇子様へ
いや,此方も闇子様の小説が好きだから感想投稿させて貰っているんですよ(汗
そう言う邪な考えも多少は有るってだけの話です(汗
だって,本当に目的がそれだけだったら誰彼構わず適当に感想書くですよ!
此方としても感想を書いて頂けるのは真に嬉しい事ですし!!
今後も変りなく感想を書いて頂けると嬉しいです^^
私も変わりなく感想を書きたいですし!
rara様へ
独特ですか?
はぁ,擬音が多いとかでしょうか…
台詞が格好良いと言うのは嬉しいです^^
台詞には力入れてるので♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜I〜〜〜〜〜〜〜〜〜
第一章:幻想夢花火
第4話「本当の始まり」
太陽の光を自らの武器である爪にギラギラと反射させながら猫背を起し限界まで自らの体を大きく見せサルコジは突進する。
其れに対しKは微動だにしない。それどころか構えすらせずサルコジを視界に入れすらしない。
また一歩また一歩とサルコジの足がKへと近付く。サルコジの爪がKの喉元に命中したと藍沢が思った瞬間だった。
サルコジは宙に浮いていた。
フワァ…
「遅いぞ…なぁ,まさか其の程度か?」
「ンナ訳ネェダロウガアァァァァァァァァァァ……」
ビュビュビュビュビュッ…
バッ…
サルコジは一瞬何が起こったのか理解できず思考を停止する。
そんなサルコジの耳に挑発するかのようなKの言葉,熱しやすいサルコジは是に容易く乗りヴォルテージを上げ空中で体を捻る。
そして,爪を勢い良く振る。すると,短かったサルコジの爪が鞭の様に撓り長く伸びる。
十のチェーンクロスの様な物による多角攻撃だ。
然し,Kは安全地点が分っているかの様に必要最低限の動きでその攻撃の全てを回避する。
更にサルコジの伸び切った爪のチェーンの部分を徐に握り空中に居るサルコジを引き摺り落す。
立ち上がろうとするサルコジに間髪居れずに鉄棒の一撃が入る。
サルコジは派手に吹飛び家屋に激突する。
大きな衝突音が響きガラガラと瓦礫が落ちる音が後に聴こえる。
砂埃の中からユラリとサルコジの影,立っている。まだ,戦意に満ちている様だ。
殺気が藍沢まで届く。
ブルッ___
体が震え体毛が総毛立つ。
圧倒的な,造られた平和の中では経験する事の無い恐怖。
藍沢は唯,其処に座って居る事しか出来なかった。
見ている間にサルコジは追詰められていく。
何度攻撃してもKを一歩も動かす事は出来ず攻撃を回避されては
間延びしたチェーンを掴まれ手繰り寄せられ鉄棒で逆に攻撃を受ける。
近接戦闘を挑んでも結果は同じ…否,逆に敗色は濃厚となるだろう。
この勝負…最初からサルコジに勝ち目は無いと見て取れた。
ズゥン…
何度目かのKの攻撃がサルコジに命中する。
サルコジは藍沢の近くに吹飛ばされていた。
立ち上がるサルコジは藍沢を睨み付け走りだす。
責めて,弟子であるこの小僧だけでも殺してやると言う様な風情だ。
然し,Kに焦りの色は全く無い。
それ所か自らの武器を地面に押し付け動こうともしない。
『………何だ,この速さ…人間の速さじゃねぇ…おい,K…助ける気ねぇのか?見捨てるのかよ?』
今度こそ死ぬ。
Kは本当は自分の事など助ける気はないのだ……関係の浅い藍沢には無論そう感じられた。
近付く死へのカウントダウン…目を瞑っても直ぐ近くにあの歯を剥き出しにして笑うサルコジの姿。
全ての抵抗を諦めたかのように藍沢は壁に横たわり思考を停止させた。
ガアァァン…
「!?」
「ヌッ……ヌワニイィィィィィ!!?」
ジャララララッ…
突然,鈍い音がしたかと思うと驚愕するサルコジの声が空から降って来る。
藍沢は恐る恐る目を開け空を見上げる。
すると,空中に放り出されたサルコジと其の横にチャーン付きの分銅…
Kの笑みを見て理解した。
是はKの武器の先端…地面に潜らせサルコジを地中から狙ったのだと…
そう,理解したと粗同時に白い細い腕が藍沢の視界に現れる。
其れは,サルコジを抱き抱え離さなかった。
鉄パイプで少し強く叩けば一撃で折れてしまいそうな腕。
あんな細い腕で70kgは有りそうな男を軽々と抱えていた。
「全く…阿呆が。分を弁えろ」
「師匠———」
新手の出現,それも師匠と言うからにはサルコジより格上なのだろう女性。
藍沢の脳内はパニック状態に陥っていた。その女は自分の直ぐ上に居るのだ当然だろう。
だが,女は全く藍沢に興味を示した様子は無くKに話し掛ける。
「随分と腑抜けな弟子だなK…全く,気が知れんよ」
「どうかな?俺はコイツぁ直ぐにサルコジ程度抜かすと信じてるよ?」
「ふん……妄想も大概にしろ…こんな」
フッ…
ビクゥ!!!
「草食動物の様な男がサルコジを直ぐに越える?有得ん……宴会の笑い話にもならん」
女性とKは知り合いの様だ。
会話の刺々しさから察するに敵勢力と言った所だろうか。
女性は険のある声で藍沢を侮蔑しKの言葉に腹を立たせる。
どうやら最初のサルコジに対する厳しい言葉とは裏腹にサルコジに対してそれなりの情がある様だ。
女性は20mは有りそうな建物から悠然とサルコジを抱えたまま降り立ち藍沢の怯えた顔を観照する。
黒いロングコートを着た色白の翠の瞳…
癖の強い金髪が特徴的な無表情ながら厳しそうな女性だ。
誰に遣られたのか顔には斜めに斬り込まれた傷が有る。
それが彼女の雰囲気をまた威厳のある物にしている様に藍沢は感じた。
そんな相手の容姿ん分析をしながら気を紛らわそうとする藍沢。
そんな彼に溜息を付き忌憚の無い意見を述べる彼女…
どうやら藍沢を殺す気は無い様だ。
藍沢はホッと胸を撫で下ろす。
「ほぉ,宴会とかお前も出るのか?想像できないな…」
「何とでも言うが良いさ」
「所で,シュトゥルヒ…その傷は治さないのか?」
「………是は私の過ちへの戒め,永遠に消えぬ憤怒の証明…消すのは我等が目的が成就した時のみ」
ズッ…
女性の名前はシュトゥルヒと言うらしい。
Kにからかわれると何故か満更でも無さそうに緑色の愁いを帯びた瞳をついと細め強がって見せる。
Kの顔の傷に対する質問に対して過去に何か有った事を臭わせる言葉を発し彼女は消えた。
藍沢は唯呆然と地面に座り続けていた。
_______________
そして,其の日の夜藍沢は風呂に入り体を洗った後組織のお茶会へと参加した。
参加者数を見ると五人…自分を含めて六人の様だ。どうやら一週間立って新人は居ないらしい。
先週と同じフロアの同じ場所に飛ばされる藍沢,周りを見回すと夜の帳が落ち心地よい暗さだ。
照明も明るすぎず良い。
「なんやぁ,俺なんてもう12人殺したでぇ♪」
相変らず話の中心に居るのはあの五月蝿い関西弁の男慎介の様だ。藍沢は額に手をあて深々と嘆息しながら進む。
「よぉ,相変らずだな」
「何やぁ?藍沢ちゃんやん…もぅ,1時間も経ってきいへんのかと思っとったわ」
「6人だ…大した事無くて悪かったな」
「………ノリ悪ぅ」
嫌みったらしく嗤う紅い髪の男,
藍沢は正直この男と長く会話をしたく無いから
反撃されないようにさっさと自分が殺した人数を応える。
慎介は伐の悪そうな顔をして沈黙する。
沈黙する慎介を他所に1人でソファーに腰掛けている能登が藍沢を手招きで誘う。
「俺は…」
「近くに座ってやんなよ…寂しがってんだからさぁ?」
それに気付いた藍沢は謹んで辞退しようと勤めるが
ガムをくちゃくちゃと噛みながらゲームをしているにも拘らず
周りの良く見えた女である渡会に指摘され周りを見回し降参したかのように彼女の横に座る。
「藍沢君……ゴメン…ね?本当は嫌なんでしょ?」
「いや,俺は…」
スッ…
「ヒュウゥ〜♪」
「青春だな♪」
言葉と表情とは裏腹に藍沢の手に自らの手を重ねる能登。
少し冷たい彼女の手が重なった瞬間藍沢の胸は無性にドキドキする。
藍沢は容姿的には上の中と言う恵まれた物を持っているが
生来外に出ない為か異性との交遊などは皆無だった。
普段仏頂面の藍沢の顔が見る見る紅く染まっていく様を渡会と条の内が茶化す。
そこに,トイレから戻って来た残りの人物が現れた。
仙道俊助……条の内慎介のお目付け役の一流歌手だ。
派手な赤の皮ジャンを羽織り銀の腰まで届く長髪…
堀が深いが余計な凹凸の少ない綺麗なマスク。全てを見透かすような青の瞳。
TVで見る通りの容姿だった。
男は遅れてきた藍沢の方を見て一言言う。
「君がKの言っていた藍沢君か…成程,才能に溢れているな」
「何…?」
「何の才能かってのは…まだ君達は知らなくて良い。何れ…いや,直ぐに分るだろう」
何の才能に溢れているのか…
フランクに話し掛けてくる仙道の言葉が的を射ず混迷する藍沢は何がだと問う。
然し,直ぐに分ると悟ったかのような口調で俊助は質問に応える気は無さそうだ。
恐らくは組織に対する情報なのだろうと悟り沈黙する。
「所で藍沢ちゃ〜ん,K…はんは何でけぇへんの?」
「………フリーダと言う女性とデートらしい。」
「フリーダって……能登の付き添いのあの姉さんと同名だな」
「十中八九彼女だろう」
「………」
静かにしているのが苦手ならしい慎介は痺れを切らせて気に成っていた事を口にする。
藍沢は少し逡巡するも単刀直入に質問に応える。
フリーダと言う名を聞くと思い出すのは此処に参席していないもう一人の上級者。
恐らくは否,確実に彼女だろう。
能登が重ねた手に力を入れる。ソファに手が沈む。汗を掻いているのが分る。
「ねぇ…藍沢君,トイレ付き合ってくれないかな?」
「!!?」
モジモジとしながら回りを見回し彼女は小声で藍沢の耳元で囁く様に言う。
藍沢は驚愕し一瞬ソファから立ち上がりそうになるが其処は必死に冷静を保つ。
「……所で…楢崎さんは…喋らないけどどうしたんだ?」
「あぁ,彼女は寝ているんだよ…酒を大量に摂取すると彼女は眠るんだ」
「目を開けたままか?」
「瞼にあたしが目の絵を書いただけだよ…」
「上手いな…オイ」
スッ___
「どこ行くねん?」
「ちょっと…彼女が風に当りたいって言うから」
必死に平静を保ちながら周りを他の面子に悟られないように見回し話題を探す。
普段,良く話しそうな印象の有る楢崎と言う上級者が全く口を開いていない事に気付く。
すると何とも予想外な事に酒の性で眠りに付いたという答が仙道から返ってきた。
目を開けているように見えたのは渡会の悪戯だったらしい。
随分と上手な絵を書くんだなと褒めながら藍沢は能登の細い腰に手を回し能登を立たせる。
そうして,外の空気に当りたいからと言う理由付けで彼女をベランダへと連れて行く振りをする。
ツカツカ…
「あの突然ゴメン…」
「一体,何なんだ……」
「あたし,藍沢君の事……」
____「好きです!!」
慎介達に声が聞こえない程度の所まできて能登が話し出す。
予想はしていた。
だが,彼女自身の口から聞くと現実味を帯びて重みを感じる。
長い間引篭もっていた藍沢には恋愛の経験もノウハウも無い。
「突然そんな事言われても……」
「そうだよね……あたしみたいな女」
「違う!能登…君が悪い訳じゃなくて俺は…君を」
藍沢は突然の彼女の言葉に返答に戸惑い言葉を濁す。
能登は見計らったかの様に自分を貶す。
其れを見た藍沢は彼女を元気付けようと言葉を探す。
ガシィ…
「でも,一週間前の藍沢君格好良かった…あたし,あんな風に護られた事なくて。
凄く凄く興奮した……惚れてしまった」
「………能登……さん」
「一度だけ!一度だけで良いんだ!!デート……して下さい!!」
そんな,逡巡する彼に彼女は強く抱きつき懇願する様に言う。
唯,好きになってしまった事…藍沢竜牙と言う男を愛して止まないという事実。
戸惑う藍沢に対して能登の語調は徐々に強まり藍沢は心を折る。
何時,デートするか其れを能登と打ち合わせして決める。
日時は明後日詰り日曜日…十時からとなった。
「俺さ…デートとか始めてなんだ」
「あたしもだよ?」
「え?」
「家庭事情の性で誰も私には良い印象を持ってなくて」
「そう……なのか…実はさ」
「何?」
「俺も……君が好きだ」
アリガトウ_____
ビルの外,吹き抜ける風が涼しい。
能登と藍沢は二人空を見上げながら思い思いの言葉を言い合う。
二人とも異性との交遊は初めてで二人とも家族間の問題に苦しんでいて
二人ともあの時から異性としてこの人と仲良く成りたいと思いあって居た。
無論,一目惚れに近い物だ。
直ぐに醒める恋かも知れない…
然し,彼女達の中にはこの殺戮の日々に一つの安らぎが生まれたのは言うまでも無い。
二人は,手を繋いで何処とも知れないビルの外の世界を眺めていた。
∞END∞
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