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Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第七話執筆中  ( No.36 )
日時: 2011/03/31 17:53
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: sCAj955N)

コメント&オリキャラ投稿してくださった方々有難う御座います。

Neon様へ
何と,貴方からオリキャラを投稿してもらえるとは……涙が!
空とは可愛い名前ですね?
相手を即死させる事の出来る回復能力…過剰回復による細胞の壊死とかでしょうか??
サルコジとか嫌いそうですね(苦笑
ご指摘有難う御座いました!!
!マークについては全く考えて無かったです(汗

ヴィオラ様へ
AB型多いな…ヘタリアのロシア了承です^^
イメージCVまで下さって有り難い事です!!

かにゅ様へ
精神攻撃系の能力ですか…詰り小さい傷でもつければ自らの勝ちと?
少し能力には個人的に条件を付けるかもですが良いですか?

楓様へ
暗殺者タイプですか…
面白いですねvv
その他設定が細かい!!

羽百合 蕾へ
ねこうさだよね?
能力が個人的に好みです…銃八個をどう操るのか考え中(苦笑
後,天才だから言動も考えないと…

パーセンター様へ
上の方のと能力が似ている…
いや,細部で全然違うから良いか(苦笑


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜I〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第一章:幻想夢花火

第7話「能力者達」

サルコジの爪が近付いてくる音がする。
死の音が響く。藍沢達は思わず目を閉じる。




そして間,長い間…距離は本の五m程度,当に体に何処かが爪に貫通されて死んでいる筈だ。
恐怖に慄きながらも全員がノロノロと目を開く。
其処には驚愕するサルコジと不自然な曲り方をしたサルコジの武器。
何が起こったのか訳が分らず藍沢は瞠目する。条の内達も同様だ。
然し,暫し混乱していた風情のサルコジは嘲笑を浮かべ大声で笑い始める。


「ハハハハハハハハハハ!助カッタナァ餓鬼共!
ナァ…藍沢,他人ニ助ケラレッパナシデダセェナァ!?」

サルコジは確信したのだ。
他の能力者が自らの攻撃を止めたのだと…其れは藍沢達の見方の誰かである事は明確だ。
だが,特殊な力などこの様な事を実行できる存在など藍沢達は知りはしなかった。
サルコジは心当たりが有るのか愉悦に満ちた表情で見えない存在の名をご指名する。
それは仙道俊助,条の内慎介のお目付け役だった。
条の内が目を瞠る。



「相変らず鬱陶しい事だなサルコジ…」


隠す必要も無いと言う風情で悠然と三階建て程のレンガ造り家から男が飛び降りる。
銀の長髪を靡かせ紅い派手な革ジャンの男が舞い降りる。
其れは条の内達の知る仙道だった。
彼はサルコジと正対し眉間に皺を寄せるサルコジにフランクな態度で話しかける。
サルコジは青筋を立て徐に右腕を振い怒気の篭った声を上げ力み伸び切った爪を無理矢理戻す。

怒りを顕にするサルコジから決して目を離さず仙道は条の内に言う。


「それにしてもお前が仲間とか言うとはな」
「何や…やっぱり張ってたんか?組織の命令?それともヒーローゴッコ?」



レンガ造りの家に潜伏して相手に悟られないように無限に伸び自在に動くテグス糸と言う能力を使った罠を造っていた。
そんな中,仙道はオーディンやサルコジ・条の内達の言動を逃さず聞いていた。
短い付き合いだがそれなりには会話をして条の内の本質を掴んでいると自負していた仙道は
条の内の口から仲間と言う言葉が出た事に唖然とし一瞬作業の手を止めたのを思い出して笑う。

条の内はタイミング良く登場したが矢張り最初から付けていたのかと嘆息する。
そして,何故つけていたのかと理由は大体分るながら敢えて聞く。

「ヒーローゴッコも少し有るな?」
「せやろな…」

その条の内の質問に対して仙道は冷かしで言われた後者の言葉に少し同意するようにしてはにかんだ。
条の内は仙道はこんな男だと何だか心が和んだ気がして目を細めた。
其の遣り取りを見ていたサルコジが発狂し向ってくる。
瞬間,サルコジの右肩を何かが貫通し肩の部分だけを石化させる。
サルコジは新手の存在に矢張り一人ではなかったかと冷静に目を細めるが
石化する腕を見て流石に呻き声を上げる。
そのサルコジの無様な姿を見て篝火が良い様だとばかりに笑みを浮かべる。

「篝火…テメェ知ッテタナ?」
「良い薬だろ?少しは…自分の無能を知ると良い」

口角を上げる露出度の高い刺激的な服装の女を忌々しげに睥睨してサルコジは舌打ちする。
其の瞬間に藍沢達は仙道の命令に従い逃げ出す。

「オーディン様」
「良いよ…何時でも会えるからさ」

逃げる鼠を忌々しげに目で追うサルコジ,
仲間になる可能性のある存在が逃げたことに声を上げるシュトルヒ。
全てを見回してシュトルヒの声に気にする必要は無いと泰然自若とした風情でオーディンは言う。
冷たい双眸が少し怒りに揺れた様に能力柄感覚の鋭い蛍華は感じたのだった。


「兎に角全力疾走や!腹痛くなっても止るんやないで!
相手は四人,援軍は未だ二人や!」

条の内が渡会達を駆り立てる様に言う。
皆,其の言葉に本気で声を向ける。こんな所で死にたく無いと言う一心で。
そんな中,走りながら息を切らせながら能登が口を開く。

「条の内さん…渡会さん一つ良いですか?」
「何や?」「何?」

条の内と渡会は怪訝そうな表情で能登を見る。
まさか,ばれていたのか…そう頭に過る。

「待ち合わせ場所の近くのカフェに居ましたよね?最初から分ってましたよ?
あっ,最初からってのは…お茶会の時,あたしが藍沢君に告白した時からって事です♪
何て言うか見守って貰っている気がして凄く嬉しかったです」

矢張りばれていた。
こんな非常事態だがそれでも条の内達は彼女に恐怖を感じているのだった。
フワフワしている様に見えて相当聡い女だと警戒心すら感じるが
彼女の声は優しくて良くもストーキングなんて人権侵害をと言う感じではなくて
逆に感謝の意すら感じて少し和む二人。
一方,藍沢は「マジか」と素直に驚嘆していた。


そんな藍沢達の正面に銀髪の青と赤のオッドアイの美女フリーダが現れた。
三人目の助っ人に藍沢達は心が少し落ち着くのを感じる。
少し安心の気の有る藍沢達の表情を見てフリーダの無機質な硝子の様な瞳が少し潤む。

「潤……良かった」
「あたし達は大丈夫だから……早く仙道さん達の支援に…」

少し遅れ目に来た彼女にとっては能登の事が相当心配だったのだろう。
安堵から涙を浮かべながら抱擁する。能登は擽ったそうに嬉しがりながら言う。
自分は大丈夫だからと…
その言葉を聞いたフリーダは一瞬驚くも能登を信じると心に言い聞かせ離れる。

「そうですね…潤は強いからね!」

強く拳を握り言い聞かせ戦場へと走ろうとした時藍沢が声を上げる。

「一つ聞かせてくれ……何なんだ。仙道さんの力と言いあの巨大な植物と言い…
人間の力じゃねぇだろう?」

「………………そうですね。この状況は余りに現実離れしていますものね」


藍沢の疑念に疑念も最もだとシコリを長引かせるのに意味は無いと
まだ,仙道達が余裕を持って戦っている事を無線機で確認して能力の説明を彼女は開始した。
能力の名前・概要を大雑把に言うとこうだ。組織が呼称する能力名はロジック。
体の中に元々存在する科学では解明されていない特殊能力発動の元となる物質「クロノス」
その人の中に元々存在した「クロノス」を増幅促進させ人外の力を発揮させる
この星の深奥に潜むもう一つの道の物質「ハート」により顕現する特殊能力である事。

個々によって能力が違う理由は人間と言う媒体が顕現できる能力の限界は最高二つまでだと言う事。
次にレベルの概念,レベルとは少しずつ殺した人間から武器を媒介として
クロノスを得てハートの力を吸収出来る限界を広げていく事により上昇する事。
ある一定の段階になるとハートの力とクロノスの力が活性化し身体能力に影響を及ぼす事。
レベル十に至る事によりキャバシティが能力を権限出来る最低段階に達する事。
彼女は彼等に提言できる限界まで話した。


「少しは疑念が晴れたでしょうか?」

「あぁ…有難う」


フリーダは聖母のようににこやかに笑う。
其れに対して藍沢は口下手で話す事が嫌いそうな彼女が此処まで話してくれた事に
心底感謝して会釈した。
すると彼女は彼等を逃走させる程度の戦力は投入されているので大丈夫だと
言外に言って走り出した。その華奢な後姿を暫く藍沢は見詰めながら走った。




____________


一方,仙道達は余り攻撃的ではないオーディン達に何とか食い下がっていた。
戦力で言えば数の差を差引いても仙道達が不利だった。
そんな中,彼女が藍沢達にロジックの説明を出来たのはオーディン達の攻めが甘いお陰だろう。
オーディンは黙して動かず篝火は微笑を浮かべ片手のサルコジの方に顔を向けているだけだ。
実質戦っているのはサルコジとシュトゥルヒの師弟二人だけだった。
何の気紛れで動かないのか動き出したら直ぐ圧倒される事が目に見えている仙道達は精神的には追い込まれていた。

「オーディン様…新手です」
「うん,多分……フリーダかな?」



自らの広げていた探知領域にフリーダが足を踏み入れた瞬間に蛍華はオーディンに告げる。
オーディンは空を見上げ明らかに不自然な等間隔に並べられた紅きナイフの大群を確認してフリーダの名を口にする。
其の瞬間———ー




                          『血ノ短剣(ブラディ・レイン)』


無機質な声と共に紅き短剣が豪雨の様に降り注がれる。
其れに対し全くのノーモーションでオーディンは突然光の傘を顕現し全ての雨を回避する。
矢張り,この程度ではこの男は動じさせられないかと思案しながらフリーダがオーディンの前へと姿を現す。
吸血鬼と異名される他者の血を固形化させたり吸収したりする特殊能力を持っているフリーダの
血ノ短剣は名の通り自らの得物により切刻んだ人間の血を使役して発動される技だ。
藍沢達の所属する組織の日本の面々の事を良く知るオーディンなら能力を見ただけで言い当てられるのは当然だったと言う事だ。

「楢崎さん……ライダースーツで戦うとか私にとっては拷問なんですが良く平然としていられますね?」

「黙れ!悪趣味吸血女!!」


オーディンを一瞥すると戦意がない事を理解したフリーダは直ぐに視界を外し
サルコジと交戦する渡会のお目付け役である楢崎を視界に入れる。そして,ライダースーツで戦う彼女を哀れみの目で見つめながら
拷問だと評し同情の念を口にする。其れに対して楢崎は悪態をつく。
そんな楢崎をサルコジが自らの力である電力(エレクトライズ)を纏った爪で死角から攻撃する。

楢崎は回避が遅れサルコジの攻撃を自らの武器である弓矢で防ぐが電撃を諸に体中に浴びて地面に落ちる。
高さ数mから落ちた楢崎は流石に普通の人間の数倍の身体能力を誇るとは言え苦痛に喘ぐのだった。
止めとばかりに飛び掛るサルコジが楢崎の視界に入る。然しサルコジは体中を仙道の糸で絡められ動きを停止する。


「おいおい……まだ,戦力が整った訳じゃないんだから油断」


「アンタがな」
「すまん」


楢崎の尻拭いをしてヤレヤレと嘆息しながら仙道が説教をしようとすると地面に潜伏させていたのだろう
シュトゥルヒの能力である蔓(ジャイアントビーンズ)が仙道を攻撃する。
後に飛び退り一撃目は回避するが幾つもの蔓が仙道を囲み逃場を無くす。
そんなシュトゥルヒの一人に集中した攻撃を一瞬にして全て楢崎が自らの弓矢で射抜く。
説教をしようとして直ぐに助けられるとはと仙道は少し顔を紅くした。

「クソオォォ」

無様に遠吠えを上げるサルコジを流石に哀れだと思ったのか篝火が自らの武器であるナイフを構え救出に向う。
然し,当然の様にフリーダが止めに入り篝火のナイフとフリーダの短剣が重なり合い勤続がぶつかり合う澄んだ音が響く。



「珍しいですね…貴方が武器を握るの」

挨拶代わりに先ずフリーダが言葉を掛ける。


「————そうね,余りにアレが鬱陶しくて」
「だから排除してあげようと思ったのに」

其れに対してあくまで冷淡な風情で蛍華はサルコジを一瞥して蜘蛛の巣にかかった蝶の様で見るに堪えないと毒づく。
鬱陶しいのなら魂を取れば良いのに溜息を付く様に言うフリーダに成程と心底納得する篝火だったが
流石に仲間なので其れは出来ないと忌々しげな表情を見せる。

「クウゥ!テメェ等…」



そんな二人の遣り取りを見て歯軋りするサルコジだった。
数分が経過する。未だ,首魁であるオーディンは動かず戦闘はこう着状態だ。
無論,一般人たちには見えはしない。
どちらも疲弊している。フリーダと篝火では篝火の方が遥かにレベルは上だが
それも戦闘特化型のフリーダと戦闘を苦手とする蛍華の性質のお陰で拮抗している。


『まだか……まだなのか?今の所は良い勝負をしているがオーディンが動いたら状況は一変する!』



仙道の額に嫌な汗が滲む。
其れを見たシュトゥルヒは仙道の腹に蹴りを居れ自らの武器である鞭を素早く振い首を狙う。

「終わりだ…オーディン様の戦闘力に気が回り過ぎた事…それが敗因だ」


淡々とシュトゥルヒは述べ仙道の危惧していた事を愚かと卑下した。
だが,仙道はシュトゥルヒの鞭を両腕をクロスさせて全力で防御し何とか即死は免れる。







                     ____その瞬間だった…………街に巨大な焔の柱が現れたのは



その巨大な焔は仙道達が待ち焦がれた組織が投入した最大戦力だった。
燃やしたい物のみを燃やす紅蓮の烈火,レベル九十七の日本部署に所属する戦士ではKの次の実力を持つ男だ。
Kは別件で来れないと言う実情を考えると正に最大戦力である。フリーダやその人物の投入に時間が掛かったのは理由がある。
組織の移動システムは戦士の居る場所の距離によって時間に変動がおきるのだ。
詰り,距離が遠いほど投下に時間が掛かり仙道達は近場に居たという事だ。




巨大な焔の力の顕現を確認してオーディンも流石に少し渋面を造る。
長刀を鞘から少し抜き武器の力を借りて力を発動する。
武器の力を借りたロジックの力と借りないロジックの力は数倍ほど違う。
詰り,オーディンも本気と言う事を意味していた。
彼が軍刀を鞘から抜いた瞬間其れが合図に成っていたのか交戦していた夫々のオーディンの部下達がオーディンの元に集まる。


「逃げんのかよ」

楢崎が呆けながら言う。


「逃げるも何も君達と此処で本気で戦う気は無い」
「其の割には私たちと随分交わりあって居たじゃないか?」


楢崎の声に涼やかな微笑を浮かべて戦う気は無かったと宣言するオーディン。
それに食い下がるように仙道が一見最もな問いを浴びせる。

「うん,流石に帰るにしても少しは面子が有るだろう」

その仙道の質問に対してオーディンは冷静に応接する。???ファンクラブの面子を立てるためだと…
そう言って一泊置いて彼は凄絶に笑みを浮かべる。


「最も次はこう言う風には行かないだろうね」


仙道は顔を引き攣らせて今後の闘争の激化の確実性に嘆息するのだった。





                        『光界(プレリュード)』


オーディンの造る光の膜の中に居る者達はオーディンと共に姿を消した。



________________


その頃,藍沢達は一般人には見えない巨大な焔の柱を目撃していた。
それは,ロジックなる特殊能力に間違いなく敵か見方か判断できない渡会達は足を止めていた。



足音が少しずつ近付いてくる。
焔の主の足音で有る事を直感する。能登が藍沢の左腕に掴み掛かり不安を顕にする。
藍沢は能登に目をやり「大丈夫だ」と小さく言った。


「ふむ,お主等が新たなる戦士達じゃの?」

足音の主は体全体に焔の蛇の様な物を纏っていた。
浅黒い肌で白い肌蹴た感じの袖の無い服装,金の竜の紋章が印象的だ。
顔は鼻が高く目は小さく鋭い赤。
髪の色は黒く短めに刈り揃えられている。
口元は黒いマスクで隠されていて見えない。
少し違和感が有るイントネーションだが男は日本語を話した。異国の出身の武士や侍と言った類に惚れた男なのだろうか。
話し方が何か其れっぽい。
文体からするに見片側だろう。

「見方?」

念の為と言う風情で渡会が問いかける。



「然様,拙者フィアンマ・サキアスと申す。悪を滅し善を助ける事に生き甲斐を感じる無頼漢よ」

渡会の問いに男は一頻り頷き肯定し名乗る。
聞いていない所まで話す様は割と人の話を聞かない部類なのかと感じさせるが今の困窮したこの状況ではそれも笑いを誘う。

「むっ!オーディンめ…逃げよったか!ぬぅ,拙者が正義の鉄槌を下してやろうと思っていたのに!!」

「まぁまぁ,フィアンマのおっさん,そう怒んなって♪」
「拙者はまだ,二十八じゃ!!」


「えっ!!!?」
「決して嘘じゃないぞ…仙道達に聞いて見ると良い」


オーディンが逃げた事により自らの活躍の場が失われた事に憤慨するフィアンマの肩を叩き渡会が諌める。
然し,オッサンと言う渡会の発言が見た目程には歳の行っていないフィアンマの琴線には響いたらしい。
サキアスはまたも怒り出し自分の年齢を公言するのだった。その年齢が予想以上に若く異口同音で驚く藍沢たちだった。
画して能登と藍沢の初めてのデートの災難は去った…





                         ∞END∞


NEXT⇒第一章 第八話「夫々の日常」


〜あとがき?〜
一先ず第一章の一番の見せ場の終了です。
第二章から少しずつ派手にして行こうと思います(汗
諸事情あって第二章を書けるのが何時か分らんですが(苦笑
超どうでも良いけど今の所主要っぽく見える藍沢・条の内・能登・渡会の中で
作者は実は渡会が一番好きだったり(苦笑