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Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第一話更新 コメ求む! ( No.5 )
日時: 2011/06/07 23:10
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: .cKA7lxF)

闇子様

ご来店有難う御座います^^
そうですねぇ…僕だったら絶対入りたいです(オイ
魅力的な設定と言って貰えて嬉しい限りです!
更新は一ヶ月に二度出来れば良い方だと思います…ご了承を(汗



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜I〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第一章:幻想夢花火

第2話「初めてのお茶会」


「おいっ……玲奈!!……オイ!返事をしろ! 何でだ……何で玲奈が殺されないといけねぇんだよぉ!」

遅れて到着した女の恋人が、声を荒蹴る。
大事な人を失った悲痛の叫び……死別の言葉も聞けぬまま、深淵まで落ちる心。
彼女の為に彼もあの世に送ろうか?
多分,愛する女の為に叫べる男なら天国に逝ける……
だが,そう思ったが,武器を握る力は緩み藍沢の心は砕け彼を殺す事を実行するには至らなかった。
周りの人間達は怯えきり恐怖の目で或いは若くして命を失った彼女に対する哀れみの目で
玲奈の死体を見詰め続けていた。
少しすると誰かが要請したのであろう救急車とパトカー
…そして,噂を聞きつけた報道陣が集まってきた。

「反吐が出る」

特に報道陣の事情徴収の仕方…死んだ人間をネタにしようとする精神には反吐が出るようだった。
疲れた…そう,思い目を瞑ると竜牙は何時の間にか自室に戻っていた。



夜____
あの男の慟哭が耳から離れない。
どうして死ぬのか…どうして殺されるのかと
泣きながらに誰かに問いかけて逝った彼女の顔が忘れられない。
是が殺人……是が人の命の重さ…そして自分は是からも最低一年は是を繰り返す。
殺戮の毎日を…何人か殺していれば人の命も軽く感じてしまうのだろうか。
嫌だ…そう思ってしまうのは弱いからだろうか。眠っている藍沢の脳内には絶えず血の海が広がる。
そして,体は小刻みに震え続け…藍沢は真夜中に目を覚ました。


「ハッハッハッハッハッハ」

ブゥン…
突然,PCのモニターが光りだした。
「組織」のホームページが開かれる。
そして,聞きなれた声が流れ出す。


「随分と魘されているが大丈夫か?」

「………」
「最初にも言ったが俺達は大量虐殺者じゃない。
殺人に快楽を求めない為にも人の命を重く受け止めろ…」

「何が言いたい?」
「お前が人の命を奪い愉悦に顔を歪める様な奴じゃなくて良かった」

自分をこの世界に誘った声と言って良いと藍沢は思っているこの男の声。
正直,耳障りだった。男の言葉に普通の人間なら魘される…当然だ
そう,反論したかったがその気にもなれず聞き流す。男は言葉を更に続ける。
以前言っていたのと同じ様な事だ。
自分はこの組織の一員になってしまった。是から何人も何人も殺して行く。
1人でも是ほど胸が痛むのに1人殺すたびに罪を感じていかないといけないのか。
余程,現実の世界で罪に問われて死刑にでも会った方がマシではないか。
藍沢は唇が震えるのを感じた。

「苦しいか…其れがお前が碌に考えもせずに答を選んだ結果だ」

「くっ………アンタ!俺の名前は知ってたよな!?名前位教えろ!!俺はアンタを何て呼んだら良い!?」

「K……本名は教えられねぇ,皆からはそう言われてる。だからそう呼んでくれ」

ブゥ…ン




沈黙を貫く竜牙に見るに見かねたかのように男は厳しい言葉を突付ける。
それは有る種現実で…男の誘惑に乗らず質問の内容に酔わず
冷静にNoと答えていれば良かった筈だからだ。後悔する。もう遅い…
だが,1年頑張れば契約を解除する事も可能だ。1年間…長い1年が始まったのを感じた。
唯,自分を庇う同僚の名前も知らず1年間を堪える事は出来ないと藍沢は感じ男に名を問う。
男は適当にはぐらかしコードネームだかイニシャルだか分らない呼び名を名乗って回線を切った。



______次の日

何時も通りの時間に自室のある二階から降りる。
実は眠れなくて2時間近く前から起きていたが…余り早く降りると親に怪しまれそうな気がした。
何気なくテレビの電源を入れる。すると「玲奈」と言う名前が耳に入る。
大きな音がしたと思うと突然彼女の肩から血が噴出した…
そして,彼女がそれに身の危険を感じ逃げ出したが更に後ろから一撃が入り
彼女は倒れ込み救急車が来た頃には既に息を引取っていた…
昨日の事が現実味を帯び竜牙は油分の濃いラーメンが口に通らなくなり二階へと逃げ込む。


すると,突然PCが立ち上げられる。





                  「お茶会に参加しませんか?」

そのPCのモニターには一言…何のお茶会かは一目瞭然だった。
毎週,1日金曜日…それがお茶会の時間だ。
時間にして3時間以上やるらしい。
傷の甞め合い…そんな気がして藍沢はPCにがっついた。

カチカチッ…

音を立ててマウスを叩く様にクリックする。
瞬間,昨日と同じ感覚………
目を開け当りを見回すと見慣れない空間。
日光が眩しく降り注ぎ周りは白を基調とした清楚な造り。
然し,殺風景ではなく要所要所に花等が添えられている。
所有者の綺麗な趣味を感じられた。
当りを見回していると声が聞こえる。男の声…闊達と言うより多少ガサツそうな男の声だ。
自分が人を殺したときの事を自慢げに話しているようだ。
快活な関西弁…恐らく大阪弁だろう。
竜牙は声の聞こえる方,人の気のある方に歩を進めた。


「いやぁ,良いね!あの頭が拉げて脳髄が飛び出る様♪周りの絶叫のオーケストラ♪」

「やめて……やめてよ」
ガシッ…

「おい,その辺にしとけよ?」

「あぁん,テメェ誰や?」
「俺は藍沢竜牙……名乗ったぞ?お前も名乗れ」

「はぁ,何や?随分ともてそうな奴やな?」
「名乗れ」

「はいはい,お堅〜…俺ぁ,条の内慎介ってんだ…宜しゅぅな」



ソファーの先,植物の陰から見える人影,
バキバキに固めてオールバックにした男の髪,野生的な赤だ。男の趣味だろう。
其処からでは其れしか見えない。
他にも何人か居るようだが捲くし立てる様に男が話しているので口数が少ない。
そんな中,1人の女性が男の会話を聞いているのに耐え切れず声を上げる。


藍沢は見るに見兼ね早足に歩み寄り男の太めの腕を握った。
瞬間男が此方に振り向く。男の全体像が見える。藍沢は細かく男の容姿をチェックする。
服装はといえばピアスやブレスレッド等ジャラジャラ付けている有触れたヤンキーだが
男は中々に容姿端麗だった。
切れ長ながら優しさを感じる青い瞳,堀が深くシャープな顔立ち。
服装はといえばピアスやらブレスレッドやらジャラジャラと付けている何処にでも居そうなヤンキーだが
正直,女受けしそうな男だったが性格的には藍沢の最も苦手とするタイプだった。
男の名は条の内慎介と言うらしい。
男が名乗ると同時に一人の年嵩の女性が立ち上がり拍手を打つ。


パァン…
「じゃっ,新人君達全員揃った事だし他の皆も自己紹介しよう〜★」

ブロンズのロングストレートの髪のサングラスを掛けたグラマラスな女,
名は楢崎たつきと言うらしい。
其の女の言葉に応じて他の三人の女たちも自己紹介をする。

「能登潤……あの,藍沢さん…助けてくれて有難う御座います」

ペコリ
「……改まらなくて良いよ」
「何やぁ?惚れた?まぁ,この娘可愛いもんなぁ…」

「黙れ…彼女が怯えてるのが分らないのか?」

先程,声を上げた少女だ。
自分と同世代くらいでやや小柄,柔和そうな優しげな顔立ちでヘアバンドをしている。
楢崎と言う女性と比べるとかなり露出度が少なく恥かしがり屋な性格なのだろう。
勇気を出して藍沢に謝ると藍沢と彼女の間に条の内が割って入る。
強い言葉で退けるのは引篭もりの自らとしては得意ではないが此処はそうするしかなかった。
慎介はヤレヤレと言った風情でその場を去る。

次に自己紹介を始めたのは
銀髪の青と赤の瞳所謂オッドアイの儚げな表情のゴスロリ系の服装の美女フリーダ・アルメリア。
小さく会釈して名前と名字を良い宜しくと付け加えるだけの簡潔な挨拶。
最後にフリーダの隣に居たヘッドフォンで音楽を聴いている
胸の大きな青味掛かった黒髪のパッチリとした瞳の強気そうな女,
渡会愛螺が自己紹介して自己紹介は終った。


「遅れてきたから聞くんだが…是だけか?」
「そうみたいね…あったしも最初は驚いたわぁ…是しかいねぇのってね
でもさぁ,段位によって話せる人が限定されるみたいなんだよね…
ランク上がる事に少しずつ情報を提供される仕組みらしくて…
詰り,あたし等みたいな初心者じゃ中級者とかの持ってる情報は知っちゃいけないって事みたい」

六人,如何数えても六人しか居ない部屋を見回し藍沢は率直な疑問を投げかける。
其れに対して人の話が聞いているのかどうかも分らない一番最後に自己紹介した女渡会が応える。
彼女の言葉は簡潔じゃなく彼女の性格を良く現していた。
正直,竜牙の好きなタイプじゃない。臍だししている処も彼としては汚らわしい様だ。
だが,必要最低限の事はちゃんと伝えるらしく彼女の言葉で大体事情は分った。

「て事は此処に居るのは全員初心者って事か」
「藍沢さん……えっと,そうでも無いです。フリーダさんは私のお目付け役の上級者ですし…」

「あたしの隣に座ってる偉そうな女もな」

素直に思った事を藍沢は口にする。
若しかしたらこのお茶会でKと接触できるかも知れないと思っていたからだ。
否,無論皆が入り乱れて話し合えるとしてもあの様な男が簡単に表舞台に出るとは思えないが。
疑問を口にすると直ぐに能登が彼に説明するように言う。
どうやら100%,Kとの接触の場が絶たれた訳では無いらしい。
聞けば渡会の隣に座っている楢崎もそうだと言うのだから…

「で,お前のお付きの奴は何処や?」
「来て無いらしい…お前こそ…」

「俺のかぁ?来てへんみたいやわ…ちゃうくて俺が気になっとんのはワレの付きどんな奴かや」
「先ずお前から言えよ」

「聞いたら驚くかもな…♪」



恐らく此処に着て居る初心者ではない面々は自ら達のお目付け役なのだろうと藍沢は解釈する。
フリーダは恐らく能登の…そして,楢崎は渡会のと言う具合だ。
となると条の内にも当然お目付け役が居る筈だと…そう思い条の内に問おうと思った時,
逆に自分が条の内に問われた。藍沢は少し苛立ち同じ質問を慎介に投げかける。
渡会がその会話に介入し一言入れる。藍沢は有名人なのかと耳を傾げる。

条の内は直ぐに自らのお目付け役の名前を口にする。


仙道俊助___


驚愕が奔る。其れは,有名なロックバンドのボーカルだった。
ミリオンセラーを山ほど出す今のロックバンドの金字塔…
まさかそんな男が血で手を染めているとは。
瞠目していると楢崎がフリーダの事を指差して言う。


「コイツ,某有名会社の秘書だったりすんのよ?」
「マジかいな!」

「コホン…そんな事言ったら貴方はどうなんですか!?マーシナリー女子の部のトップレーサーでしょ!」


楢崎は女性のトップクラスレーサーでフリーダは有名企業の秘書。
輝かしい経歴だ。
嘘だろ…藍沢にとってはそうとしか言えないような事実だ。
こんな胡散臭い組織にそんな高収入で生活に満足できてそうな人間が手を染めているとは
そもそも,多忙なはずの彼女等が今の昼日中からこんな所に逃げていて怪しまれないのだろうか…
疑問が水泡の様に脳内を沸き立つ。


「言うたで俺は…あんさんで最後やな,自慢大会も」

腹の立つ言い方で条の内慎介が問いかけてくる。

「K…本名は知らない」
「何や…Kって誰やねん!?って言うかアルファベットのKかいな!!」

条の内の言葉に藍沢は事実を小さく述べた。
其れに対し初心者と初心者ではない面々の反応の違いが大きい。
フリーダと楢崎はKと言う言葉に驚き動きを止め他の面々は
そんな名前有るのかと言う様な反論だ。
能登でさえ「嘘付かないでよ」と否定的だった。
ヒートアップして捲し立てる条の内が鬱陶しい…そう思っていた時…


「K…KってあのKが!?初心者のお目付け役……」

冷静で声を荒けるなど殆どしなそうなフリーダが挙動不審な風に言う。
闊達な雰囲気の楢崎も驚愕した表情で声が出ない様だ。
その反応に二人は知っているのだろうと感知した条の内が問いかける…Kについて


「K……私達の組織の日本支部…最高責任者,
そして組織全体でも最も総司令との関係が深い男の1人」


「嘘…」
「マジかよ………」


「何やと!?何でそない男が………」


フリーダから語られる藍沢自身知らなかった事実。
初心者の面倒を見るのだからある程度熟達した人物なのだろうとは分っていた。
だが,組織の根幹に関わる程の大人物とは予想していなかった。
この場に居ないのは現の職場が大変からではなくて
組織の重役として働き詰めて居るからなのだろうと理解する。

「一つ聞きたいんだけど……楢崎…はどれ位の地位なの?」

「あぁ,参考までに言っとくわね?あたしは上級で65レベル…
フリーダも上級59レベル…仙道さんも同じで70レベル…」

人間を1人殺した事により1レベル(入会)に達した藍沢達とは天と地だ。
当然ながらレベルが上がるにつれ必要な経験地即ち殺さなければいけない数も増えていく。
一体どれ程殺せばそのレベルに達するのかと彼女達に問いたくなる竜牙だった。
能登等フリーダが其れほどまでに殺していると言う事実を突きつけられ放心している。


「マジかよ…」
「何を言ってるんですか…私達も確かにこの手は罪に穢れていますが…」

「Kはあたし等とはまた別の段階に居るわ」
「何レベルなんや!?」




「100_______詰り最高レベルです」



藍沢の震える手,彼女達の怯える様から理解する。Kが彼女達より遥かに殺しているだろう事。
フリーダ達からKのレベルを聞こうと少し考え言葉を発する。
其れに対してフリーダは言う。
その言葉でKが彼女達より遥かに罪に穢れている事は明確な事実となる。
更に楢崎も続ける…確信と変る。
戦々恐々とした表情で条の内が問う。

最高レベル……何時最高レベルに到達したのか分らないらしい。
少なくともフリーダがこの組織に籍を置き始めた13年前の地点でそうだったと聞く。
どれ程長い間この組織に居るのか…何故其れほどまでに身を捧げるのか…
藍沢には理解できなかった。



                         ∞END∞


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