ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ピリオドをください。 ( No.24 )
日時: 2011/02/09 17:29
名前: AW工作員 (ID: 3JtB6P.q)

第五章

『戻ってこい』

声が聞こえた。
優しい、青年の声が。

真っ黒な廊下ー。
いや、白い壁が闇に呑まれているのだ。

「どこにいるの?」

無数の扉が並ぶ廊下を
さまよった。

『戻ってこいよ』

また声がー。
違う。聞こえるんじゃない。

直接頭に響くような、そんな感じだ。

暗闇を手探りで、
足を引きずるように歩いた。

「一体誰なの?」

走ろうとする足がもつれ、床に倒れる。

『こっちに戻ってこい』

目の前のドアで声が大きくなったような気がした。

“重症420号室”と札が掛かっている。

ダイヤル式の南京錠だ。

私は立ち上がると躊躇なくその南京錠に手を伸ばし、ダイヤルを回した。

ー知っている。
何故かダイヤル番号を知っているのだ。

解錠し、私はドアに手をかける。

(何があるんだろ…?)

思い切って、ドアを開けてみた。

その瞬間。
まばゆい光が視界を覆う。

私は全てから遠のいた。