ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ピリオドをください。 ( No.28 )
日時: 2011/03/31 11:45
名前: AW工作員 ◆DmA4Zkv3S6 (ID: 3JtB6P.q)
参照: お久しぶりです^^

全身を黒で統一した服装は白い部屋では際立っている。

「私は看護師じゃない」

「じゃあ、面会?嬉しいね。ここじゃ面会は禁じられてるのに」

笑い混じりに言いながら彼はこちらに振り向いた。

長い前髪から穏やかな目が覗いたが、

「嘘、だろ…こんなことって…」

その目は一瞬にして大きく見開かれた。

ホラー映画のワンシーンのようなリアクション。

彼は立ち上がり私の前に立った。

「!?」

いきなり肩を掴まれ、
顔をまじまじと見つめられる。

「…咲希なのか?」

これまで全く違う場所で全く違う人間として生き還り続けていた。

唯一、共通していたことといえばー。

「ちょっ、何で私の名前を?」

肩を掴んでいる手を振り払った。

「…え?」

彼はただ愕然とする。

が、それはすぐに憂いの表情に変わった。

「そうか…。君は別人か」

「別人?」

「いや、君によく似た人を知っているだけだ。まさか名前まで同じなんてね…」

もとの穏やかな目に戻り、表情が温かみを帯びた。

「そんなことより、なぜ君はここに?」

「あなたが呼んだんじゃないの?」

そう。
私は声に呼ばれたから来ただけだ。

別に何か用があるわけではない。

「呼んだ?僕が?」

彼は驚いた表情を浮かべたがすぐフッと笑ってこう言った。

「何にしても好都合だ。僕をここから連れ出してくれないか?」