ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ピリオドをください。 ( No.35 )
- 日時: 2011/04/13 23:33
- 名前: AW工作員 ◆DmA4Zkv3S6 (ID: 3JtB6P.q)
第七章
まさに絶句。
何故そんなことを?
「やっぱり君は僕の知ってる咲希だね」
「…どういうこと?」
ヒカルは私から目を反らすと、また元のヘラヘラした顔に戻った。
「忘れちゃったか〜。まぁ、いいんだけ…」
「誤魔化さないで!」
気がついたら、ヒカルの胸ぐらを掴んでいた。
そのときの私は一体、どんな顔をしていたのか。
きっと、ヒカルにしか分からなかっただろう。
「ねぇ、教えて。あなたは一体何?」
「今は話せないんだ。でも、そのうち分かる」
ヒカルが私の手に自分の手を重ねた。
瞬間、脳裏に浮かぶ記憶の景色。
ー机とイスがある。
これは教室だろうか。
モノクロの景色だ。
掴んでいる手の力が自然に抜ける。
「また会おう。咲希」
しばらくの間、私は動けずにそこに立ち尽くしていた。
ヒカルは来た道を引き返して、帰っていったのか。
きっと、帰ったのだろう。あの病院に。
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よく、眠れない。
目を無理やり閉じるたびに目を瞑ることに疲れ、寝返りをうつたびに横たわることが気だるくなってきた。
遂には起き上がって、部屋中を行ったり来たり。
身体は疲れきっているはずなのに眠れなかった。
(もう、眠らなきゃ…)
私は台所に足を運んでコップに水を注ぐと
あの睡眠薬を取り出し、一錠口に入れた。
「そういえば、この間は効かなかったっけ」
気がつけば一気に十錠前後の睡眠薬を手にし、口に放り込んでいた。
水で無理やり流し込む。
「!?」
いきなり視界がぼやけ出した。
「嘘でしょ…?」
まともに立つことすら出来なくなり何かにつかまりながらフラフラと歩く。
しかし、すぐに足元から崩れ落ち、その場に倒れてしまった。
(もしかして私…!)
薬らしきものが散乱するすぐ横に倒れている女性の姿がフラッシュバックする。
「…し…ぬの…?」
呟いたきり、私の意識はそこで途切れた。
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これは、夢?
皿が割れる音。
机の上の花瓶。
こちらを覗き込んでいる四つの目。
女性の笑顔。
少女の笑顔。
冷酷な笑顔。
それらの繋がりのない景色が走馬燈のように目の前を駆け巡る。
「どうして!?」
「ここは屋上だもんね」
「…苦…しい」
全て私の声。
見たくない。
みたくない。
ミタクナイ。
もう、やめて。
もう
「やめて!」
頭を抱えてしゃがみこもうとしたときに
「!?」
一瞬。ほんの一瞬だけ、優しげな青年の笑顔を見た。
「ヒカル…?」
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