ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: -KILLERS キラーズ- ( No.6 )
- 日時: 2011/01/27 21:29
- 名前: 天使の部屋 (ID: BZFXj35Y)
EPISODE1−2
【出会い】
翌日、真奈は学校の帰りに待ち合わせ場所である喫茶店へと向かった。後、5分で5時である。
空は夕日で赤く染まっている。真奈は綺麗に輝いた夕日を見ながら、喫茶店の前へと着いた。
「喫茶店 リングポット」
古い木の看板に書かれた文字は、すでに消えかかっている。緑色の塗装もかなり剥がれており年季が伝わる。
小道の角にあるリングポットは、相変わらず客はいないようだ。
カランカラン
「いらっしゃい。」
真奈が中に入ると、顎に白髭を生やした優しそうな年配の男性従業員が立っていた。
真奈は軽く会釈すると、辺りの席を見渡す。奥の席には、帽子を深く被った男性とコートを着た女性がいる。
窓側の席を見ると、黒いコートにフードを被った怪しい人物が座っていた。
「あの………殺し屋……さんですか?」
「………お前が依頼人か?」
フードを脱ぎながら、右頬に大きな切り傷のある若い男性は真奈に言った。目は丸くなり、かなり驚いている。
真奈は一旦深呼吸をすると、男性の真向かいの席に座った。
「私が依頼人です。依頼は、メールの通りなんですが………」
「………まぁいい。依頼は犯人探しと殺害だな?」
「はい。できますか?」
「できるわけねぇだろ。」
男性の答えに、思わず真奈は息を止めた。男性は大きなため息をつきながら、予め頼んでいたコーヒーを飲む。
「犯人の手掛かりは一切ない。イコール、99.9%探せないし殺せない。諦めるんだな。」
男性は鼻で笑うと、コーヒーを飲み終えて席を立とうとした。
「犯人は………………殺し屋です。」
「あ?」
真奈は落ち着いた様子で言うと、男性の目を見つめて頷いた。男性は口をポカンと開けたまま、無言で席に戻る。
男性は手を組むと、口を歪めて真奈の目をじっと見つめる。
「根拠は?」
「5年前の2015年。私が小学4年生の時です。家に帰ると、両親は玄関先で死んでいました。心臓を銃で撃たれて即死。勿論、私が第一発見者。私は警察に通報する前に、死んだ両親の遺体の隣に落ちていた‘ある物’に目を奪われた。それは、いまでもここにあります。」
真奈は学生鞄をテーブルの上に置き、男性に‘キーホルダー’を見せた。
キーホルダーは丸い形で‘K’とゴシック体で彫られており、裏には‘KillKill.COM’と彫られている。
「私は最初、このキーホルダーは母か父の持ち物と思っていました。だけど、年が経つにつれて、不審に思った。」
「KillKill.COM専属の殺し屋だけが持つ、特注のバッヂだ。」
男性の言葉に、真奈は唇を噛締めながら頷いた。
「私はそれを知って、‘KillKill.COM’に辿りついた。そして、依頼メールはあなたに…………」
「バッヂを貸せ。」
男性は真奈の有無を言わずに、キーホルダーと化したバッヂを鞄から取り、じっくりと観察する。
真奈はその光景を静かに待っていた。
「バッヂが紛失していれば、あそこには………」
「え?」
「俺と来い。依頼は受けた。」
男性は立ち上がりながら言う。真奈は男性の返事を聞いて笑顔になった。
「あ、ありが………」
「さっさと行くぞ。チビ。」
「…………」
男性は笑顔で言うと、年配従業員にお金を払って足早に出ていった。真奈はため息をつきながら、なぜか後悔している。
「口悪いなぁ……。まぁ、いっか♪」
真奈も店を出ると、男性と並んで夕日に染まった空の下を歩いて行った。